2020年は、山手線がとにかく注目を集める年になりそうだ。3月には30番目の駅・高輪ゲートウェイ駅の開業を控えていて、何より話題を呼ぶことになるだろう。が、その前に新年である。新年の山手線といったらなんと言っても原宿駅だ。日本で最もたくさんの人が初詣にやってくる明治神宮の最寄り駅。ただでさえふだんから溢れんばかりの人で賑わう原宿駅が、一年でいちばん輝く季節が新年なのである。
“牧歌的な”原宿駅とは3月でさようなら
そんな原宿駅も、目下新駅舎の建設工事中。2020年3月には今までよりどデカく立派な橋上駅舎にリニューアルする予定だ。裏を返せば小さいけれどどこか牧歌的で原宿の町に溶け込んでいる現在の駅舎もまもなく役割を終えることになる。あと数ヶ月で見納めとなってしまうこの駅舎の姿を記憶に留めるべく、年の瀬の原宿駅を訪れた。
改めて説明するまでもないかもしれないが、原宿駅は新宿駅からだと2駅先、渋谷駅のひとつ手前の駅である。ホームの代々木寄りにある階段を降って狭い地下通路の先には竹下口。改札口を抜けて目の前の横断歩道を渡れば、まるで満員電車のようにたくさんの人が絶えず行き交う竹下通りだ。
もともと“軍隊の駅”だった原宿駅
が、目的は古い木造の駅舎。新しい駅舎ができても竹下口には大きな変化があるわけではなさそうなので、今回は竹下口には寄らずに目的の駅舎を目指す。木造駅舎があるのは表参道口。そこにはホーム渋谷寄りの階段を昇り、跨線橋を渡ってスロープを下ってゆく。竹下口への地下通路がそうであるように、こちらの駅舎への通路もたくさんの人が絶え間なく行き交っている。スロープやコンコースは竹下口と比べればいくらか広いものの、原宿駅の利用者の数からすればだいぶ狭く感じてしまう。そんな手狭な原宿駅から外に出れば、街にいるのは若い人と外国人観光客ばかり。いかにも原宿らしい光景である。