「29歳やし、もう解散や」からの「狂言風クリスマス」
南條 あの頃は、暗黒時代ですよ。2人で再出発した時、もう29歳でしたから。ラストチャンスやと思ってたのに2人になってもうまくいかず、「もう解散や」ってなって、劇場のオーディション受けるとき、じゃあ、最後やし、ちょっと変わったネタでもやるかみたいな雰囲気になったんです。それで、ノリでやった「狂言風クリスマス」というのがけっこうウケて。そのときたまたま一緒に出たミルクボーイの駒場(孝)さんからも「自分ら、それ本ネタにしたほうが良いで」って言われて。そこから寿命を延長、延長、延長してきたみたいな感じなんです。
――狂言風の漫才にたどり着いたのは、何かきっかけがあったんですか。
南條 何もないです。ライブの日がクリスマスやったんです。で、クリスマスのショートコントやろうかみたいなん言ったときに、ポッと。狂言クリスマスってどやみたいな。
三島 南條は最初から狂言っぽい言い回しがうまかったんです。いよ~みたいな。
南條 適当にやったら、それがすごいウケて。オーディションにも受かって、2人ですぐに着物を買いに行きました。
小鼓ポンッは「サッカーのPKみたいなもん」
三島 小鼓を買ったのは、その1年後ぐらいですかね。
南條 アマゾンで買ったんですけど、これ、なかなかいい音が鳴らないんで、めっちゃ練習しました。
――(試しに記者も叩かせてもらうが、音がまったく響かず)あっ、難しい。音が割れちゃいますね。
南條 マジで難しいんですよ。これ、絶対、書いといてください。
――みんな簡単に鳴るものだと思ってますよ。
南條 そうでしょ。ネタの後で、ポンッていい音を出すの、じつは高等技術なんです。最初、「すゑひろがりずと申します」って自己紹介した後にポンッって鳴らすんですけど、一発目のポンがいちばん緊張する。そこで外したら、いきなり変な感じになりますから。M-1決勝で登場のときに階段を下りながら叩いたのも、じつは、自己紹介に入る前に、試しに叩いておきたかったというのもあるんです。
――サッカーのPKみたいなもんなんですね。練習ならいくらでも入れられるけど、いざ試合になると緊張から外すこともあるという。
南條 ほんま、それですわ。
――準決勝、決勝で、すゑひろがりずは合コンのネタを披露しましたが、3回戦、準々決勝は違うネタでした。合コンネタは準決勝まで温存しておいたのですか。