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コロナショック「株価低下よりも怖い」夏のボーナス大減額が待っている?

リーマン・ショックや東日本大震災はどれだけ下げたのか

2020/03/03
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株価がプラスになっている業界とは……

 特に非正規雇用や歩合制のフリーランスへの影響は非常に大きいです。イベントや営業の中止からセミナー収益や広告収入なども激減が予想されます。一足先に新型肺炎の影響を受けているシンガポールでは2月の頭からセミナーなどの自粛が広がりました。

 日本にいるフリーランスの仲間にも「今年はセミナーで売り上げをあげることは厳しいだろうから、自宅でもできる執筆業やオンラインでの配信に切り替えたほうがいい」とアドバイスをしましたが、当時は日本にいる人はまだピンと来ていなかったようです。株価は先行して動くので底が見えたら反転するでしょうが、夏のボーナスやフリーランスの売り上げなど家計への影響は数ヶ月遅れてズッシリとやって来るのです。

 他方で、新型肺炎の影響で株価がプラスになっている業界もありますがごくわずかです。金の販売業者やテレワーク系などです。先週、金1グラム当たりの小売価格は6400円前後で販売されていましたが、これは1980年1月に付けた過去最高値に次ぐ水準です。近くにオフィスのある人に聞いたところ、銀座にある田中貴金属の店舗の前には行列ができていたということです。

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 しかし、観光、航空、小売、飲食などを始めとした大部分の業界は非常に厳しいでしょう。

世界的に見ても「少なすぎる」日本の対策予算

 新型肺炎に対する各国・地域の予算を見ても、米国2700億円、シンガポール5000億円、台湾2200億円、日本153億円と人口から考えると日本の予算は非常に少なく、シンガポールが異常に高いのが分かります。

 2月29日に、日本政府は今年度予算の予備費となる2700億円を活用する意向を発表しましたが、具体的な対応策の決定は3月上旬になるとしています。

 一方、韓国は感染の拡大を受けて2月28日、総額16兆ウォン(約1兆4300億円)規模の経済対策を実施すると発表しています。

 5000億円を新型肺炎&景気対策に当てる発表をしたシンガポールでは、法人・労働者向け支援「安定化・サポート・パッケージ」として、雇用サポート・スキームの導入(国民の月収の8%分を3ヶ月間雇用主に支給、上限や期限あり)、法人税の税額軽減、観光、航空、小売、飲食、運輸サービスなど5部門向け特別支援などを行っています。

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 一般世帯向け支援(ケア・サポート・パッケージ)としては、21歳以上の全国民に現金100~300シンガポールドルを支給、さらに未成年の子供のいる世帯には追加で100シンガポールドルを現金支給などです。このように、景気対策を行うことで経済の減速を全力で防ごうとしています。

2020年度政府予算案に盛り込まれた総額64億Sドルの新型コロナウイルス関連の主な支援策
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