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「けしからん」国交相を動かした、れいわ・木村議員の質問力はなぜ高いのか

れいわ新選組・木村英子参議院議員インタビュー#3

2020/04/05
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木村議員がとにかく改善したい制度

――慣例通りなら2年後に常任委員会の再編があります。その時は、やはり厚生労働委員会への所属を希望されますか?

木村 そうですね。そういう希望は出すと思います。とにかく重度訪問介護制度を改善したいというのがありますので。そのためにはできるだけ早く厚生労働委員会に行かないと、と思っています。

――重度訪問介護制度といえば、24時間介護が必要な障害者が宿泊先で利用できるなど比較的柔軟な面もある一方で、様々な問題点も指摘されていますね。やはり、重度訪問介護制度への問題意識は大きい?

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木村 はい。私が国会議員になったことで、重度訪問介護という制度が国民に広く知れ渡りましたけれども、それでも、居住する自治体によっては「そもそも今のこの制度ですら、使いたいのに使えない」という人がたくさんいらっしゃって。それでは社会参加ができないですよね。

 そうなると、その人が自分の可能性や能力を社会で発揮するチャンスを奪われることになりますので。それはやはりあからさまな差別だと思うんです。

 ところで今、重度訪問介護を利用されてるんですか?

新型コロナウイルス感染対策のため、当日はマスク着用でインタビューに答えた木村議員。手前が筆者

――利用資格はあるのですが、実際利用しているのは居宅介護の方です。

木村 やっぱり重度訪問介護は時間当たりの介護報酬が低いから、事業として実施している事業所が少ないというのもあるんですよね。

――まさにそれが理由です。

木村 そうでしょうね。もし何か困られたら、要求者組合までいらしてください。

 その上、重度訪問介護を支給してもらっていても、その日働いてもらうヘルパーさんが見つからなかったら、制度があっても使えないという問題もあります。

人手不足で、制度があっても使えない

――今朝、木村議員が1994年に多摩市で設立した障害者の自立生活支援団体「自立ステーションつばさ」に伺って、「木村議員らが奔走し、多摩市にヘルパー資格のない人も介護に携われる仕組みを作った」と教えてもらいました。

木村 はい。多摩市では「障がい者自立生活サポーター支援事業」と呼ばれていて2012年にできました。昔の「介護人派遣事業」を復活させたような仕組みなんです。

 今、在宅介護全体が資格重視になっていますので、とても人手不足です。そんな中で、今の制度だけでは介護者が確保できませんから生きていけない。

――深刻な問題ですね。

木村 加えて、幼い頃から分けられてきたので、障害者のことは理解されにくく、介護資格を持っている人にも障害者の介護は敬遠されがちです。ですので、この制度には将来資格を取る人に、資格を取る前から障害者介護に携わってもらう、という意味合いもあります。

 ヘルパー資格を取るための学校は多くあっても、その中で障害者のことを教えるカリキュラムはほとんどないですから。ヘルパーになって初めて障害者に触れるという人ばかりなので。

木村議員が立ち上げた障害者の自立生活支援団体「自立ステーションつばさ」

究極的に目指している福祉の形

――今の介護制度に強い問題意識を持っていらっしゃることがよくわかりました。究極的に目指している制度の形、というようなものはありますか。

木村 公約にも掲げている「日本型パーソナルアシスタンス」制度です。スウェーデンの制度を参考にしているのですが、国から本人に直接お金が支給されて、本人がそれを介護者に支払う仕組みなんです。