長くプレーする層を獲得した「どうぶつの森」
なぜ「先へ先へ」とやりたくなるのか? それは同シリーズが元々、バイラル(口コミ)的な火の付き方をしたように、他人に勧めたくなる魅力を持つからでしょう。2001年に発売されたNINTENDO 64版は国内で約21万本を販売しました(ファミ通調べ、以下データも同様)。そのときの話題を受けて、ゲームキューブ版は約64万本と約3倍に成長しました。そして、ニンテンドーDS版は約524万本と考えられないような数字になったのです。
また「どうぶつの森」シリーズは、女性のプレーヤーが多く、かつ長期的にプレーする傾向があることも知られています。ゲーム好きの男性プレーヤーは、次々出る新作を遊ぶ傾向にありますが、「どうぶつの森」は、殺伐とした世界とは無縁で、女性のハートをガッチリつかみ、長くプレーする層の獲得に成功しました。
今回は、人気ゲーム「マインクラフト」と同じく、プレーヤーがアイテムを作り、島の地形すらも“改造”する「サンドボックス」と呼ばれるシステムを導入。さらに長く遊べるゲームになっています。“時間泥棒”と言えるかもしれません。
自分の世界を自慢したくなるし、他人の自慢も覗きたくなる
そこまで思い入れがあると、自分の箱庭世界を愛で、SNSなどで自慢したくなるのは当然の流れです。さらに他人の自慢も、なぜかのぞき見したくなるのです。ツイッターで検索をしてもらえれば一目瞭然で、“ダブル自慢”のような不思議な流れになっています。
分かりやすい例の一つが、ゲーム内で服を自由にデザインする「マイデザイン」です。過去のシリーズにもありましたが、今回は凝ったデザインができますから、センスの見せどころです。そしてさまざまな人気アニメ、マンガ、ゲームのキャラクター衣装が次々とアップされます。美術館で絵画を鑑賞している感じで、ただ眺めているだけでも、かなりの時間がつぶせます。
そしてこれらのデータは、任意で共有できる仕組みになっています。お気に入りのデータを集めていけば、箱庭世界のち密さはさらに高まっていき、愛着が増す……という寸法です。多くのユーザーが、ゲームを勝手に“バージョンアップ”しているともいえますね。