「テラスハウス」(フジテレビ系/Netflix)に出演していた女子プロレスラーの木村花さん(享年22)が急死した事件から、2週間が経とうとしている。

木村花さん ©getty

 この間、木村さんの死をめぐり、様々な観点から問題点が指摘されてきたが、SNS上で匿名の誹謗中傷を行った“加害者”に加えて、そうした状況を煽った番組側の責任を問う声も少なくない。

 実はリアリティショーの「本場」であるアメリカでも、番組出演者が死に至り、番組側の責任を問う裁判へと発展したケースがある。リアリティショーにおける過激な演出の法的責任は問えるのか。リスクマネジメントに詳しい田畑淳弁護士が解説する。

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「局部が無修正で放送された」と賠償訴訟を起こした例も

 今回、編集部の依頼をうけて、リアリティショーの「本場」であるアメリカの事情を調べてみました。さすが訴訟でも「本場」な国だけあって、興味深いケースがいくつかありました。以下、ちょっと紹介してみます。

 ・2014年、男女がほぼ裸でさまざまなアクティビティをこなし、恋愛感情を確かめ合うリアリティショー、「デイティング・ネイキッド」において、出演者であるジェシー・ニゼビッツは、彼女の局部が無修正で放送されたとして、1000万ドル(=約11億円)の賠償を求めて番組側に訴訟を起こしました。この訴訟は最終的に原告の敗訴に終わっています。

 

 ・また、出演者が太った恋愛相手を求める様子を追うリアリティショー「チャビー(ぽっちゃり、程度の意味)・チェイサー」において、出演者のトリスタン・ワトソンとルームメイトのナディーン・クロスビーがMTVと番組プロデューサーに対して250万ドル(=約2億7000万円)を求めて訴訟を起こし、詐欺、契約違反を主張しました。こちらの訴訟も棄却され、上訴はされなかったようです。

©iStock.com

 これ以外にも、著名ラッパーのザ・ゲームがリアリティショー内で女性への性的暴行をしたとして710万ドル(=約7億円)の賠償を命じられたケース、キャスティングに人種的な偏りがあるとして争いになったケースなど、リアリティショーを巡る法的紛争は枚挙にいとまがありません。