超有名声優のチャンネル登録数が伸び悩むのはなぜ?
――ここ数ヶ月、声優のYouTube業界進出が増えていることを指摘されていましたが、そうした超有名声優さん達のチャンネル登録者数が、想像より遥かに少なく、殆どが10万人以下にとどまっている事に驚いています。今のところあまりうまくいってないように思えるのですが。
DWU それは動画の内容の問題です。これはVtuberにも言えることですけど、他のYouTuberがすでにやっている企画ばかりで面白みと新鮮さに欠けますね。一方で、とても成功している声優さんもおられますよ。
例えば、花江夏樹さんのチャンネルは企画や編集もよくできていて、登録者数も150万人を超えています。私は中二病全開のノリでUNOなどの身近なカードゲームをやっていく「闇のゲーム」シリーズが特に好きで「あれぞまさに声優のYouTubeチャンネルだ!」と感じます。
他にも、杉田智和さんは芸人のスタイルを取り入れて大人気になった方ですので、狩野英孝さんがYouTubeで人気を博しているのと同様、TVタレントがYouTubeにおりてくる今の流れともマッチして伸びているんでしょうね。
勧めるから座ったのに……声優業界の理不尽な上下関係
――やはり同じ業界の方の動向をよくチェックしておられるのですね。今まで声優業界で最も印象深かった体験は何ですか?
DWU これは決して私ではなく、あくまで知人の声優の子に聞いた話なんですけど。 普通、収録ブースでは新人、中堅、主役級とキャリアに応じて座る椅子が決まるものなんですね。
その知人は、新人の席が埋まっていたのでドアの隅に立ってたら、主役級の声優に「ここ空いてるから座って大丈夫だよ」と隣に座るように指示されて、素直にその主役級の椅子に座ったそうなんですよ。
ところが、椅子を勧めた本人が、収録後の飲み会が始まるなり「新人のくせにメインが座る椅子に座ってた非常識な奴がおるって本当ー??」とわざとらしく大声をあげて場が気まずくなったそうです。知人は嫌な気分になったけどこらえて「今後気を付けよう」と肝に銘じたそうです。
あれはなんだったんでしょうね? まあ、私の話ではないですけど。
――上下関係が厳しそうな世界ですね。「新人声優はマネージャー達に顔と名前を憶えてもらうために、事務所に台本を取りに行ったり、入口に整列して挨拶したりする」と聞いたこともありますが、本当ですか。
DWU 本当です。マネージャーだけでなくスタッフさん、共演者の方への挨拶も必須なので、新人は1列に並んで時間を取らせないよう手早く自己紹介をします。
中には「集中力欠けるからやめろ」と毛嫌いする方もいるし、逆に「名前を覚えてもらうまで会う度に何度も繰り返し自己紹介しろ」という方もいるから、そこの見極めが難しいです。新人声優って大変ですね。