容疑者は犯行前に夫と「別れるわ」親族証言

 事件を知った近隣住民は驚きを隠さずにこう語る。

「8年くらい前にここに越してきた若夫婦です。旦那さんは180センチあるかないかの大柄な男性で、奥さんは逆に小柄で細身、黒髪ロングのおとなしそうな人。いつも2人で歩いていましたよ。でこぼこコンビだなぁとほほえましく思っていました。

 いたって普通の家族にみえましたが、幼い男の子が2人いるのに普段から近所で遊んでいる様子もなく、家も物音ひとつせず静かなので不思議には思っていました。でも、まさかあの物静かな奥さんが旦那さんを殺そうとするなんて。びっくりです」

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“いたって普通”だった妻はなぜ夫にボーガンで矢を放ったのか。樽井容疑者の実家に向かうと、親族が取材に応えた。

6月4日に宝塚市で起きた親族4人殺傷事件。野津英滉容疑者(23・のずひであき)容疑者がボーガンで弟・英志さん(22)、祖母・好美さん(75)、母・マユミさん(47)を殺害。伯母の百合江さん(49)は重傷を負った ©時事通信

「知らないあいだにウチに住み着いていた」

「最後に未希と会ったのは3カ月前くらい。うちに来て酒を飲みながら、『(旦那と)別れるわ』と言っていました。でもそれから一切連絡がなかったので、どうしているのかなと気になっていたところでした。夫は以前、ここ(妻の実家)にも住んでいたことがあるんですよ」

 当時、夫妻はまだ結婚していなかったが、親族男性によると「知らないあいだに、男がウチに住み着いていた」という。

「その時も男は無職で、半年くらい居候していたかな。家族も迷惑していたけど、2階の一部屋に未希と2人で引きこもって出てこないから話もできない。しかも夏場には2人がずっとエアコンをつけっぱなしにするから、すぐに家のブレーカーが落ちるんですよ。古い家なのでどうしようもなくて、家族が一度強めに注意したら2人でしれっと家を出ていきました」(同前)

兵庫県警察本部 ©AFLO

 約8年前に2人は今回事件があったアパートに転居。入籍もしたが、親族に対して結婚報告は一切なかったという。

「未希が男と家を出て行った後、しばらくして2人が結婚したことを知りました。しかも男が勝手に『樽井』姓を名乗っていたんです。親族の了承をとっていませんでしたから、さすがに驚きました。結婚後は2人でカフェか何かの飲食店を経営するために借金もしたらしいです。でも店は失敗して、借金まみれになった。子供も生まれたみたいだったけど、妊娠していたことも知らされていなかった」