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 また先述した「東海軍装会」のメンバーも、1997年に「約10年前から行進をしている」と証言している。どうやら70年代に大きな節目がありそうだ。

 ただ、このあたりの裏付けは十分とはいえないので、今後さらに調査を進めていきたい。

大人の「軍服コスプレ」が許される時代

 2010年代以降、世代交代はますます進み、終戦記念日の靖国神社における軍装者はほとんど「軍服コスプレ」と化した。そしてスマホとSNSの普及により、その姿が世のなかに広く知られるようになった。

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 それがかならずしも精悍・清潔な印象を与えなかったことも、批判の声を集めた一因だっただろう。

靖国神社 ©iStock.com

 それにしても、「今の日本はダメだ」と主張する軍装者ほど、戦後の自由を享受しているのは皮肉というほかない。戦前では、大人の「軍服コスプレ」など許されるはずもなかったからだ。

「英霊への敬意だ」と唱えるしかない軍装者たち

 その意味では「戦前の復活」との批判も、的を外している。今日の「軍服で靖国参拝」は、イメージと異なり、むしろ戦後民主主義的な光景だからである。

 とはいえ、いまさら軍装者も「コスプレで何が悪い、表現の自由だ」と主張するわけにもいかず、「軍服着用は英霊への敬意だ」との理屈を唱え続けるしかないだろう。

 戦前を肯定する者が、戦後の価値観に依存し、戦前を否定するものが、目の前の戦後的な光景を正当に評価できない。その奇妙な捻れは、けっして「軍服コスプレ」に対する評価に限った話ではない。終戦記念日の靖国神社をめぐる言説は、現代日本の戯画的な姿でもあった。そしてそれは戦後75年を過ぎても変わりそうにない。