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“DX”導入で大損した会社を救った「コストゼロ」の解決法とは?

「競争戦略×クリエイティブ」が最強の武器になる その1

source : ライフスタイル出版

genre : ビジネス, 働き方, 企業, テクノロジー, 経済, 読書

「潮が引いたあとで誰が裸で泳いでいたかわかる」

楠木 過去の古新聞、古雑誌を読み込んでいくと、すぐに面白いことに気づきます。例えば、ビジネスメディアはこの50年ずっと「仕事がなくなる」と言い続けているんですね。コンピュータで、オートメーション化で、ロボットで、あるいはインターネットで、情報システムで、AIで、DXで仕事はなくなると。そのわりにはみんな今でも随分働いている(笑)。

 

三浦 最近ならコロナで仕事がなくなる、ですね。

楠木 時代の危機を煽ったり、「エンロンに学べ」とか流行りのビジネスモデルを持ち上げたり、その時々でみんな真顔で言うわけです。でも、そういうメディアの言説を時間的な奥行きの中で捉え直すと、同時代のノイズが全部デトックスされて、否が応でも本質がむき出しになって見えてくる。これが逆・タイムマシン経営論の効用です。

 ウォーレン・バフェットは「潮が引いたあとで誰が裸で泳いでいたかわかる」という名言を残していますが、たとえばコロナ禍の記事ひとつ取っても、たった半年前の記事が早くもイイ味を出している。本質を押さえているものと、思いつきで反射しているものと、その区別がすぐにつきます。「誰が裸で泳いでいたか」が明白になります。

 三浦さんの『超クリエイティブ』で勉強になったのが、世の中がある方向に向かってみんなが「こうだ!」と流れていくものに抗して、「オルタナティブを示す」大切さ。クリエイティブで別の選択肢を示して、それが人間を動かして実装されて商売なり商品になる面白さ。この辺は私が普段考えてることと親和性が高いですね

事象の本質を見ないと新しいものは生み出せない

三浦 『逆・タイムマシン経営論』も『超クリエイティブ』も最終的には同じことを言っていると思っていて、それは「事象の本質を見ないと新しいものは生み出せない」ということ。新しいものを生み出そうとするとき、本質発見を伴わないまま枝葉末節に目を奪われてしまうと本末転倒になってしまいますよね。

 

 DXに関して具体例でお話しすると、いま僕たちはあるリテールの食品メーカーのDX事業をお手伝いしてるんですが、最初、営業がうまくいっていないとご相談を受けたんです。コロナもあってなかなか地方の店舗の方々が会ってくれないし、インターネットを使った設備でもプレゼンがうまくいかず、なかなか商談が決まらないと。実は僕らのところに来る前に、ある大手コンサルティング会社に発注した結果、何千万もの開発予算をかけてリモートでプレゼンするためのスタジオを作るみたいなことをやっていました。騙されたって言ったら失礼ですけど、DXとは何かを考えないまま導入してしまった。

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