高野連には、虚偽と思われる報告がされている
「3年間の裁判でした。新型コロナ感染拡大防止のための緊急事態宣言の間、裁判がストップして、さらに裁判官が異動で代わったりもしました。当時の校長を証人として法廷で証言させたかったんですが、和解条項にもあるように、証人尋問がなくなりました。その前に裁判所からは『(二次被害は)法的責任を問えない』とも言われたりしました。
司法の世界は遅れているとは思いますが、司法に“おかしい”というのは負担が大きいので、一旦、決着させました。息子は、結果について納得しましたが、県との関係では、責任を問えなかったため、『申し訳ない』と謝りました」(同前)
また、日本スポーツ振興センターに対しては、「災害共済給付」を請求した。部活動など学校生活に起因するものであれば、PTSDについても対象になるとされている。そのため、病院での治療代請求が認められた。
ただ、高野連には、虚偽と思われる報告がされているという。
「私たちが認めていない『時系列メモ』を“報告書”として提出したとの説明をしていました。開示請求をした結果、きちんとした報告書でないことがわかりました。さらに、1年後、内容が不十分な恣意的な“報告書”を出していたのです」(同前)
いじめ防止対策推進法では、調査委員会が首長や関係機関に報告書を提出する際に、きちんと報告がなされているのかを監視する機関はない。ただし、文科省が定めた「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では、首長などに報告する際には、被害児童生徒・保護者は、調査結果に関する所見をまとめた文書を添えることができ、あらかじめ、そのことを被害児童生徒・保護者に伝えることが明記されている。
報告書が公表された際、Aさんの保護者は「所見」も提出している。しかし、県のホームページには、所見の有無については書かれていない。「神奈川県いじめ防止基本方針」では「いじめを受けた児童・生徒やその保護者に対して、公表の方針について説明を行う」としているが、父親は「所見を公表するかどうかの説明はありません」と話している。