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民放の真似してお金もらっても……

――今のNHKの番組については、どう感じていますか?

森本 古巣だからあんまり悪くは言いたくないですが、今のNHKは何をやろうとしているのか、わからないことが多い。例えば、海外ドキュメンタリーにしても、リポーターに芸人さんや女優さんを使う。ディレクターが好きなんでしょうけど、うんざりしてしまう。昔はリポーターなど無しだって素晴らしいドキュメンタリーを沢山作っていたのに。NHKにも制作プロダクションが入り込んでいるから、言ってみれば民放のように、番組の枠を貸す“不動産屋”になっている。局の志が見えなくなってきています。

――最近は、NHKのゴールデンタイムの番組でも、民放と同じような芸人やタレントをよく見かけます。

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森本 「そういう人を出さないと受信料を取れない」と考えているのかもしれないけど、民放の真似してお金もらっても恥ずかしいでしょう。それは民放に任せればいいじゃないですか。僕と一緒に働いていた時代のNHKの人は嘆いていると思います。NHK会長は国会の同意を得て総理大臣が任命した経営委員会によって選ばれますから、天下りが当たり前になっている。労働組合もなりを潜めているのか、出てこない。「放送はいかにあるべきか」なんて青臭い話し合いは、今や労使でやらないんでしょう。僕はNHKに20年も世話になった恩義もあるし、NHKに育てられたという思いもあるから批判してしまうけど……NHK愛があればこそです。それだけに寂しい。

森本氏(2002年) ©️文藝春秋

「今年82歳。体が順調であるはずがない」

――1990年にスタートしたラジオ番組「森本毅郎 スタンバイ!」(TBSラジオ)も30年を超える長寿番組です。現在も毎朝帯番組のキャスターを務めていますが、どんなスケジュールで過ごされていますか?

森本 毎晩23時に布団に入って、朝4時半に起きだすんです。でも、夜中に2時間ごとにテレビでCNNやBBCをチェックします。目が覚めちゃうんですよ。それで、朝5時前にうちを出て、局に向かう。朝のラジオの仕事が終わるとうちへ直接帰ることもあれば、事務所で雑用をこなしたり、趣味の映画を見たりしています。

TBSラジオホームページより

 休日は、息子が「歳をとっても新しいことに挑戦しなきゃダメだ」と言って、蕎麦打ちセット買ってきたりしてね。いきなり蕎麦を打たされたこともあった。最近は包丁セットを買ってきて、息子が釣ってきた魚を捌いたり。ちょっとした楽しみを見つけながらの生活ですかね。