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病める時は病める時なりに

 どうしてそうなってしまうのか考えてみると、体調の悪い時こそ自分の体調に合ったものを食べたいはずなのに、そういう時ほど料理をすることが難しいから……料理をすることへのハードルが高すぎるからではないでしょうか。

 その点、杏耶さんのレシピは、とっても簡単。電子レンジやお湯を用いてあっという間にできてしまうので、調子が悪い人でも、料理が苦手な人でも、失敗がありません。料理のハードルが一気に下がります。

©️iStock.com

 そして、自分で料理を作って食べることの一番の良さは、味付けをその日の体調によって調節できることです。硬いものを軟らかくしたり、薄味に仕上げたり、油を控えることもできますし、作る量も食べられる量にとどめることができ、ゴミも少なくて済みます。

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 また、料理をすることは、さまざまな面から「自己肯定感を上げる」ことに役立つのではないかといわれています。「自分でごはんを作った」という事実によって「達成感」を得ることができるからでしょう。さらに、料理のレパートリーが増えることは、自尊感情につながるという海外の報告もあるくらいです。

「料理をすることは人間ならではの営み」の一つ。健やかなる時だけでなく、病める時は病める時なりに、無理をしない範囲で、体調に合わせたごはんづくりをすることができればいいですよね。杏耶さんの「限界ごはん」であればそれができます。

 毎日食べるごはんは、体の栄養になるだけではなく、脳を刺激したり、心を整えたり、精神面にも良い影響があります。何より、「美味しい!」と思って食べている時は、どんなに疲れていても自然に笑顔になりますよね。

「ごちそうさま」という気持ちが自然と湧いてくるような、そんな日々の良循環を生み出すのは、何も特別なご馳走ではなく、どんなに簡単でもいいから、自分の体に合わせて作った何気ない日々の料理なのかもしれません。

 人は弱っている時に、「心」と「体」を整えて支える力を、ひと口の自分の食事から感じとることができます。杏耶さんのレシピで、皆さんの元気がチャージされますように。

文=平川あずさ(管理栄養士)

もうがんばれない日のための 限界ごはん

杏耶 ,平川 あずさ

KADOKAWA

2021年3月24日 発売