奨励会試験で不合格になり、研修会に入会
――小5の奨励会試験で不合格になったときに青野先生は、何かおっしゃられましたか。
八代 研修会に入って力をつけたらどうかとアドバイスされ、月に2回東京に通うことになりました。地元は車がなければどこにも行けないような田舎でしたが、熱海まで出れば東京への距離は近いので日帰りできたのです。研修会の入会試験の結果、D1クラスで入会しました。
――研修のD1でしたら、失礼ですが、奨励会合格にはちょっと厳しい実力だったのですね。
八代 その通りですね。僕は伊東では同年代の将棋友達はいませんでした。研修会に入って、初めて友達がたくさんできて、それはもう楽しかったです。一緒に奨励会を目指す子たちも、奨励会入りは考えない子もいました。今もアマ大会で活躍している友達もいます。
――そのときは三枚堂七段や佐々木勇気七段は先に奨励会入りしていて、研修会には同じく小5での奨励会試験に不合格となった高見七段がいました。
八代 高見君とはクラスが離れていることもあって、研修会ではそんなに仲良くなりませんでした。そして僕が奨励会入りする半年前に研修会でA2に上がって奨励会に編入していきました。高見君と僕は、奨励会は平成17(2005)年入会組で同期ではあるのですが、厳密には彼が半年先輩なのです。平成16(2004)年入会組は、関東には永瀬拓矢王座、佐々木勇気七段、三枚堂七段、石井健太郎六段、関西には斎藤慎太郎八段、菅井竜也八段がいて、あたり年と言われていました。平成17年組は、16年の試験に落ちて入れなかったメンバーも多いです。
小6になり、一番良い成績で奨励会入り
――研修会通いでクラスも上がって、小6での試験には十分合格する力がついたのでしょうか。
八代 研修会ではC2にしか上がらなかったけれど、力は伸びたと思います。また1回試験を経験したことで、ピリピリした雰囲気に飲まれずに力を出せました。6戦中4勝すれば良かった1次試験は5勝1敗で通過。現役奨励会員と対戦する2次試験では、1年経って6級にいた三枚堂君と初戦で当たって勝ちました。今でも三枚堂君には「八代をプロにしてしまったのは私です。責任を感じています。奨励会試験で自分が勝っていればこんなことには……」なんていじられます(笑)。2次試験は1勝すれば合格なのですが、その年は2戦目も3戦目も奨励会員と対局し3連勝。首席合格というか一番良い成績で奨励会入りを決め、これからどんどん昇級していけると自信をつけました。