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卒業式で「グロリアス」を歌いたかった……!

 本州よりも1ヶ月遅れて桜が咲き、カラリと爽やかな夏がきて、大きな夕やけに見惚れ、激しい雪が舞う。

 特に冬の歌から漂う切なさは別格。自然に囲まれ育ったものにしか出せないムードがある。私は夏が苦手で、時々クーラー代わりに冬の歌を聴いて涼を取るのだが、もちろんGLAYの歌はヘビーローテーションである。

「Winter,again」「Missing you」「ホワイトロード」「氷の翼」etc……。特に「氷の翼」は最近店で流れていて、美しくてビックリしたという偶然の出会い。

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 あまりにきれいなので、歌詞を必死で聞きとり検索をかけたら「ああ~やっぱりGLAY!」。参った、参りましたと唸り、その場でプレイリストに加えた。

TAKURO ©岡田裕介

「聖母たちのララバイ」を初めて聴いたときと似たショック。もし「火曜サスペンス劇場」が復活したら、この曲をエンディングで流してほしい。絶対合う!

 もちろん、冬の曲以外も四季を愛するGLAYの歌はどれも瑞々しい。「春を愛する人」「さくらびと」は、季節の花が彩られた美しい便箋に、とてもキレイな字で書かれた手紙を読んでいる気分になる。「グロリアス」は、私の学生時代にこの曲が存在していればどれだけ嬉しかっただろう。卒業式で、友達と歌いたかった……!

永遠に「大好きな音楽小僧」のまま

 彼らのバンドの歴史をみると決して順風満帆ではない。特に著作権使用料・印税問題では悩まされ、2度も訴訟を起こしている(2度とも勝訴)。順調どころか、かなり波乱万丈だ。

 それでもGLAYの音楽はヒネクレない。彼らの音楽を聴いていると、どんなに激しい曲でもやさしい主人公が見えてくるし、広大な自然が見えてくる。そして、時代に抗うでもなく、「こっちが無理なら、こんな風にしてみようぜ!」とイマジネーションを武器にして、聴いているこちらの壁を取っ払ってくれるのだ。

 故郷を愛し、価値観を共にする仲間がいる人の揺るぎなさには、本当にかなわないなあと思ってしまう。

 このサバイバルの時代でも、GLAYは永遠に「大好きな音楽小僧」のまま。

1999年のGLAY EXPO

 5ヶ月連続配信リリースで配信済みの2曲「FRIED GREEN TOMATOES」、「青春は残酷だ」にも、漂うのは爽やかな風と懐かしい街の雑踏。

「どんなに長い夜もいつも歌ってた あの歌の続きなどを今度教えて」(「FRIED GREEN TOMATOES」)

 彼らのメッセージはいつだって、「次逢える日」を思わせる。