万博に必要な経費は「宝くじ」で確保へ
日本万博に必要な諸経費を確保するため、日本万博協会は抽選券付き回数入場券(1冊10円、大人用1回入場券12枚綴)の前売りを決めた。ここで言う抽選券とは宝くじだ。販売総額の1割を当選金に充て、1等を2000円、2等を100円、3等を10円とした。
第1回(100万冊)・第2回(100万冊)・第3回(165万冊)の計3回に渡って発売する計画を立てた。第1回は1938年3月10日から24日までを販売期間とした。当時の10円は高額ながら、日中戦争の軍需によって国内経済は好況が続き、第1回分は完売した。
記念絵はがき(3枚組)からも当時の経済状況が見える。厚手の上質紙にカラー印刷し、金銀の彩色まで施し、豪華な仕様となっている。「大正広重」とも称された人気の鳥瞰図絵師吉田初三郎(1884~1955)に作品制作を依頼し、「京都祇園・観光社」が印刷、発行している。
会場風景を描いたタトウ(収納袋)では近未来の建物が並ぶ。「日本万国博覧会会場」では遠く富士山を背景に発展を遂げる東京湾埋立地が紹介される。まさに未来の臨海都市を予感させる景色だ。
「肇国記念館」は日本万博のメインとなる建物であり、総裁「秩父宮雍仁親王殿下」の肖像と共に朝日と白波が描かれる。記念印は「総裁奉戴式」とあり、日付は1938(昭和13)年4月21日だ。これより少し前の4月1日には国家総動員法が公布されている。豪華な絵はがきもまた日本の一断面を示す。