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「面白くなくて売れなくても俺のせいじゃないよ」 ハライチ・岩井勇気が「文章がうまい人っぽく」エッセイを書けるワケ

岩井勇気さんインタビュー#1

2021/10/03
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――エッセイもネタを書く感覚で書かれているのですか?

岩井 文章を書き上げたら頭の中で一度音読して、発声してもひっかからないように、というネタのリズムで書いています。僕、特にネタ帳とかもつけていなくて、思いつきでネタを一晩で書いたりするんですけど、それはエッセイも同じですね。日々普通に生活して、締め切りが来たら思い出してバーッと書く、という感じで。エッセイ1本だいたい3時間くらいで書き上げています。最近は締め切りにも少し余裕を持っていますけど、ネタもエッセイも締め切りがないと書けないというのは共通しています(笑)。

「文章がうまい人っぽく」書けてた第2弾

――第1弾に比べて文章がうまくなった、文章を書くのが楽しくなった、などの変化はご自身で感じますか?

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岩井 相変わらず楽しくはないです(笑)。でも、少しは文章が上手になったと思います。第1弾は最初と最後のエッセイで文章力にだいぶ差がありますけど、第2弾はコツをつかんだので、そこは前作よりも「文章がうまい人っぽく」書けていると思います。

 

――「文章がうまい人っぽい」とは、どんな書き方ですか? 

岩井 「いい文章っぽい」余韻を残して終わらせることです。読者に「いい話を読んだ」と錯覚させるんです。僕のエッセイはオチがあるわけでもなく、ただ自分で面白いと思ったことをダラダラ書いているだけなんですけど、最後の2~3行を「っぽく」書くと、何かいい文章みたいな読後感で終わらせられるんですよ。

 なので第2弾もそれで書いていたら、担当編集さんから「“~っぽく”書くのに頼りすぎていませんか?」と指摘されたので、「うるせえよ」と思って、ちょっとだけ照れたり、反省したりと、僕の気持ちで終わるように変えました。

――担当編集さんからの修正や指示などは結構あったのですか?

岩井 いや、誤字や語尾を直されるくらいで、そんなになかったです。エピソードそのものに対して「これはちょっと」という修正が2回続くと、そのエピソード自体をボツにして違うストーリーを書いていたので、書き上げた文章に対して修正がたくさん入るということはありませんでした。

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