のめり込むきっかけは、築地市場の「豊洲移転問題」
――WADAさんが開示請求を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
WADA 築地市場の豊洲への移転問題が“炎上”した2018年が本格的に取り組むようになった年です。それまでにも2~3件、情報の開示請求をしたことはあったと思いますが、案件は何だったか、今となっては忘れてしまいました。
私の専門はデータサイエンスだったので、地下水位についてのデータを解析しました。そこから「桜を見る会」の一連の出来事に関わったこともあり、本格的に情報公開という制度が持つ意義を感じ、のめりこんでいきました。
18年に100件、19年に100件、20年に1000件、今年も9月時点で国だけで739件とどんどん量が膨らんでいきました。平均すれば1日3件請求しているので、数日家を空けるとポストが請求した資料でパンパンになっていて、開けるとドサッと落ちてきます。よくもここまで、ねじ込めたものだと(笑)。
官公庁に開示情報を請求する場合は1件300円かかる
――それだけの件数をこなすと、お金もかなりかかるのではと思います。
WADA 最初の築地の移転問題で請求先の東京都から届いた開示情報の量はDVDで7枚、30GBの資料でした。1枚100円なので、計700円でしたね。
値段や方式については、自治体ごとに違います。東京都はスキャン代は無料。大阪府や大阪市は進んでいて、電子申請が可能です。一方、遅れている横浜市はデータでの授受に対応しておらず、紙のコピーしか届きません。国の場合はスキャンでも1枚10円かかるので、請求した資料によってはかなりの金額になることもあります。
また、国の官公庁に請求する場合は1件300円かかります。昨年私は国だけで1000件請求しているので、それだけで30万円かかっているので、ばかになりませんね。
――開示請求クラスタのメンバーにはどうやったらなれますか。
WADA 加入希望はこれまで、Twitterで私に連絡をもらっていました。こちらが希望するメンバーとしては、過去に情報公開請求をして、実績を公開している方が望ましいですね。それがメディアに取り上げられたか否かといった実績は問いません。
ただ、最近は「コロナが存在することを示す公文書を出せ」というような官公庁の手を煩わせるだけの荒唐無稽な請求をする人が多いと聞いています。正しく開示請求という武器を使い、権力を監視できる団体でありたいと思います。