対応の悪い官庁、ワースト1位は防衛省
――これまでWADAさんは数多くの開示請求をされてきたわけですが、官庁ごとに対応の良し悪しは違うのでしょうか。
WADA ありますよ。ワースト3位は財務省です。開示請求をする際には、請求する文書の内容について記入するのですが、こちらが請求した範囲が「必ずしも明確でない」と言って逃げるんです。その上で公文書の検索URLだけを送ってきます。情報公開法には書き方を丁寧に説明しなければならないとありますが、守られていません。「一応は投げ返しましたよ」というエクスキューズですね。
ワースト2位は外務省です。こちらは財務省と異なり、“速やかに不開示”になる傾向があります。「以下10件は不開示」という一文だけが返ってきたりと、手抜き感が強いですね。不祥事案件は請求すると、黒塗りすら来ないこともざらですね。財務省もそうですが、まともな資料が出てきた記憶がありません。私は請求件数が多いのでデータをPDFにして保管するのですが、データをよくわからない形式で送ってくることも多く、その点も不親切です。
ワースト1位は防衛省ですね。とにかく開示が遅いんです。
本来、請求から30日以内に開示の可否を決めなければなりません。忙しいなど、理由があれば2カ月でも許されていて、更に特例延長というのもあるのですが、防衛省は特例延長がデフォルトです。請求すれば、3~4カ月かかるのが当たり前。
東京五輪の資料を請求して結果が9月に来たのですが、なんと一部の開示決定の判断は令和5年8月。開示決定から手元に届くまでに4カ月以上かかっているわけです。自衛隊が不要になった装備品をオークションに出した件で、知り合いが請求した際は半年かかりました。日報とかの開示も遅いですね。また、それだけ長い期間待ってみても、届くのは大体報道機関用の公開資料くらいのもののことが多いです。
警察庁は資料の保管もしっかりして、開示も早い
――反対に対応の良い官庁、ベスト3はどこでしょうか。
WADA ベスト3位は経済産業省。時間はかかりますが、請求した内容はしっかり出してきますね。
ベスト2位は内閣官房。請求内容について「こういう内容でいいですか」と、担当者からしっかり確認の電話も来ます。防衛省、外務省ではこんな“神対応”はかつて1度もありませんでした。
ベスト1位は警察庁でしょうか。さすがに資料の保管もしっかりしていますし、開示も早いし、対応も丁寧です。先日、コロナ禍での在宅死の統計データを請求した時も、きちんとした資料が出てきました。
――政権によって開示請求への対応に変化が生まれることもあるのでしょうか。
WADA 民主党政権時は、私が本格的に活動する前なので分かりません。ただ先日、野党合同ヒアリングに出た感覚として、今の野党は情報開示の重要性を認識しているように思いました。政権交代で大きく変わることを期待しています。名古屋入管で死亡したウィシュマさんに関する文書や映像も、赤木ファイルも、自民党政権では出てこないと思います。