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 地上で爆弾が爆発するたびに、洞窟の天井から石がざあざあ降ってくる。疲労と飢餓に加え、あまりに引き延ばされた死の恐怖で、体中が麻痺してもう何も感じなくなる。一瞬、子供の泣き声が上がるが、日本兵が口を塞ぎ、永遠の沈黙が訪れる。その間もずっとアメリカ人が地上を歩きまわり、服をはぎ取って強姦しよう、体を切り刻もう、殺害しようと待ちかまえているのだ。

今なお約2000トンの不発弾が埋没

 陽の光のなかへ出て、目をしばたいていると、蒸し蒸しする暑さが再び襲ってきた。ビジターセンターの中へ入ると、最近、工事現場で爆発した第二次世界大戦中の不発弾に関する記事が掲出されていた。糸満市で水道管の敷設工事中、パワーショベルが土に喰らいついた瞬間、爆発し、直径約5メートル、深さ約1.5メートルの穴が開いた。爆風で近所の高齢者施設などの窓ガラス100枚あまりが割れ、パワーショベルを操作していた作業員のヘルメットが吹き飛んだ。作業員は顔面に重傷を負ったが、命はとりとめた。ほかに高齢者ひとりがけがをした。次にどこで爆発が起こるか誰にもわからない。

「沖縄南部すべてが同じ問題を抱えている。不発弾がどこに埋まっているかは不明だ」と近隣の行政区の長がコメントしていた(*7)。これまでにも爆発事故は多数あったが、1974年には那覇市の幼稚園近くで下水道工事中に爆発が起こった。当時、園内ではひなまつり会の最中で、幼稚園児と保護者400人ほどが集まっていた。その時、作業員が土留めのため地中に打ちこんだパイルが、不発弾にぶち当たった。この爆発で作業員ら3人と3歳児ひとりが爆風で飛ばされたり、生き埋めになるなどして亡くなった。

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*7 “Excavation Triggers WWII Bomb Blast”(『Japan Update』2009年1月23日)

  ロケット弾、弾丸、砲弾、手榴弾、照明弾、機関銃の弾薬、地雷――あらゆる兵器が日常的に島のいたるところで発見される。

 戦闘中、島に落とされた約20万トンの爆発物のうち2500トンの不発弾が沖縄に眠っているとされる[沖縄県「不発弾等処理事業の概況」によると、2016年度現在、埋没されている不発弾は約1985トンあまり]。学校の先生は子供たちに、弾丸や爆弾、手榴弾かと思ったら、その錆びた物体には近づいてはいけないと教え、自衛隊は発見された爆発物の処理に定期的に駆り出されている。千恵の話では、沖縄の人々はこの糸満市での事故の責任を政府に求め、賠償を望んでいるが、政府はそれを拒んでいるという。

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アメリカンビレッジの夜――基地の町・沖縄に生きる女たち

アケミ・ジョンソン ,真田由美子

紀伊國屋書店

2021年9月10日 発売