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『Pokémon LEGENDS アルセウス』はオープンワールド作品なのか?

 昨今は「オープンワールド」と呼ばれる、世界が区切られておらず自由に移動できるデザインを採用したゲームが流行している。『Pokémon LEGENDS アルセウス』もそれに影響を受けているようで、古臭いRPGを脱して新たな作品に進化しようというわけだ(ただし、本作はオープンワールドの定義には当てはまらず、あくまで“それ風”である)。

 こういったゲームになるとひとつ問題がある。プレイヤーは自然のなかを冒険するわけだが、そこでは当然ながら野生のポケモンたちと出会う。すると、どうなるか? 野生生物は人間を見て寄ってくるかもしれないし、逃げ出したり、あるいは襲いかかってくるわけだ。

『Pokémon LEGENDS アルセウス』 画像は任天堂公式サイトより

 そう、このゲームではポケモンが人間を本気で攻撃してくるのである。タコのようなポケモン「オクタン」が超高圧の水を吹き出してきたり、一見するとかわいいポケモンが「はかいこうせん」を撃ってきたり、鋼の巨体を持つポケモンが全力で突進してくる。頭によぎるのは“死”であろう。

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 実際、『Pokémon LEGENDS アルセウス』では、しばしば死がほのめかされる。ポケモンと人間がまだ絆を結んでいない時代を描いているだけあって、村の外に放り出されれば野垂れ死に、自然のなかを薄着で歩き回ればイチコロだと言われるのだ。全世界の人たちが楽しむかわいらしいコンテンツにも関わらず、だ。

『ポケットモンスター』シリーズの生みの親である田尻智氏は、昆虫採集の楽しさがポケモンのアイデアに繋がっていったと語っている。さまざまな場所にいる多様な昆虫、そしてそれらを捕まえて戦わせるというのは、たしかにそっくりだ。また、『ウルトラセブン』に登場する「カプセル怪獣」からも大きな影響を受けている。モンスターボールはまさしく怪獣を小さなカプセルにしまう行為であり、こちらも明確な類似点があるわけだ。