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「言われた本人があんまり怖がってないんですよね」ストーカー行為に“脳がブラックアウト”した女性を追い詰める、警察の“無神経すぎる”一言

『ストーカーとの七〇〇日戦争』より #1

2022/03/08

source : 文春文庫

genre : ニュース, 社会, 読書, 政治, メディア

 ストーカー被害では、警察に頼んでもなかなか思うように動いてくれなかったという話を聞く。また、取り調べの際に「つきまとい行為」の内容を事細かに説明することを、苦痛に感じる人も少なくないだろう。信じられないことに、2016年改正前のストーカー規制法では、SNSでのメッセージ送信は“つきまとい行為”とされていなかった。

 ここでは、小豆島に移住した作家の内澤旬子さんが、元交際相手からのストーカー被害を受け、2年以上に及んだ戦いの全容をまとめた著書『ストーカーとの七〇〇日戦争』から一部を抜粋。ストーカー「A」が初めて警察に確保され、著者が同じ署内で説明を受けているシーンを紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

©文藝春秋

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「とりあえず今晩は、Aを刑事2名同行で草壁港に送り、最終の高速艇で島から出て行かせて、帰宅させます。車は小豆署の駐車場に置いたままで」

 なるほど。同居している親にも連絡がいったのだろうか。高松港まで迎えにきてもらうのだろう。ともかく島から出してしまえば、なにもできないというわけだ。島ならではの発想だ。

「それで、明日Bさんにも小豆署に来ていただいて、ここで話をしてもらいます」

 はい。それがいいです。Bさんの家にAを行かせるのは心配ですから。ありがとうございます。

「それと、我々の目の前でメッセンジャーを削除させました。今後一切内澤さんには送信しないということで。それでですね。内澤さん。我々もいろいろ検討したのですが、こちらのメッセンジャーでのやりとりがね、Eメールだったら、ストーカー規制法が適用できるんですが……。SNSのメッセンジャーでメッセージを送信することを処罰することはできないんです」

 え⁇ どういうことですか???