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同期はピース綾部、ウーマン村本、キンコン西野…「あの世代の“以前”と“以後”では大きな差がある」なかやまきんに君(43)が語る、芸人に起きた“ある変化”

なかやまきんに君さん インタビュー#3

2022/02/18
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 「右を向いても左を向いてもNSC生」というほどライバルがひしめき合っていた大阪NSC22期。生き残るために選んだ筋肉芸に、時に助けられ、時に振り回され、そしてようやく辿り着いたアメリカという夢。

 きんに君、ピース綾部、キンコン西野、ウーマン村本……アメリカを目指す芸人たちの驚きの共通点とは。自らを“ラストマッスル”と呼ぶその理由とは。最初で最後の筋肉芸人が、死ぬまでにどうしてもやりたいこと。(全3回中の3回目/1回目から読む)

なかやまきんに君さん

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アメリカを目指す芸人の、驚きの共通点

――渡辺直美さん、ピース綾部さん、ウーマンラッシュアワー村本さん、キングコング西野さん……なぜ今芸人さんはアメリカを目指すのか、なかやまさんはどう思われますか。 

きんに君 たしかに多いですよね。僕が2006年に渡米したときには「何言ってんの?」感がめちゃめちゃありました。会社の人も、レギュラー番組もあるのに「それやめるってどういうこと?」みたいな。今はどうなんでしょうね。 

 僕はNSC大阪の22期生で、ウーマンラッシュアワー)村本、(キングコング)西野もそうです。東京でいったら5期生らしいんですけど、同期には(ピース)綾部などがいる。大阪22期(東京5期)「以前」と「以降」って、結構違いがあると思っていて。

――どういう「違い」ですか。 

きんに君 それまで300人ぐらいだったNSCの生徒が、22期で一気に2倍になったんですよ。とにかくいっぱい採ろうって方針に変わったらしくて、東京も大阪も生徒が増えた。テレビでも素人参加番組が増えたりして、「もしかしたら自分も芸人になれるかも」ってみんなが思いだしたタイミングがちょうど1999年あたりだったと思うんです。

 ライバルが増える中で、勝つためにはどうしなきゃいけないか。ギャグやる人やキャラ芸人、一発屋芸人と呼ばれる人が2000年ぐらいからだんだん出てきたのもそういう要因があると思います。

 その人たちが活躍することによって、「ああ一発芸があれば世に出れるんだ」って人がまた増えて。ちょうどそういう時代かもしれないですね。 

――なるほど。その世代の芸人さんたちは自然とハングリーな方が多いと。 

きんに君 まず、他の芸人とかぶったらだめなんですよ。同じパターンのことをやってたら、あいつと一緒じゃないかと言われて消えていってしまいます。お客さんもそういう目で見るじゃないですか。

 だから何か新しいもの、プラス自分の中に持ってるもので勝負しないといけない。僕もそれで、たまたまですけど、筋肉になっていきました。 

 

スベったときの精神的ダメージ……筋肉芸人のツラさ

――#1では、当時「そんなキャラすぐ飽きられて終わる」と言われたともおっしゃっていましたが。 

きんに君 言われましたね。でもその一方で、「もうそのままでいいんじゃない?」って言ってくれる先輩もいました。自由にやるのが一番いいよって。 

 でも、やってる本人はワーッてスベった時って、実は精神的にダメージあるんですよ。こっちが放出したカロリーに比べて、結果は全然スベってる。

 周りの人は「いつもスベってるやん」でいいかもしれないですけど、それが毎日続いて、この先どうなるんだろうというところまでいったら、やっぱりみんなおかしくなると思うんですよね。あの頃は気持ちに折り合いをつけるのが大変でした。