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声をかけようとすると、突然店の外へ全力で走りだした

 そんな地域住民の「範」たるべきタレントが、万引きという悪事に手を染めてしまったのだ。被害にあった福岡市新天町商店街の店舗関係者が証言する。

「犯行は閉店間際、従業員や客が少ない時間におこなわれました。レジから離れた壁側の防犯カメラからは“死角”となっている化粧品コーナーで小林は品物を物色したようです。10月とはいえ、まだ暑さも残る時期だったのにダボっとした黒色のロングパーカーに、深くハットをかぶり、カゴももたずに店内をウロウロし、明らかに挙動がおかしかった。男性店員の1人が不審に思い、商品を並べるフリをして脚立に登り、上からその男の行動を観察していたところ、男が袖口にヘアオイルをいれていたんです。そこで声をかけようとすると、男は突然店の外へ全力で走りだしました」

事件のあったドラッグストア ©文藝春秋

 店を出た小林は全速力で300メートルほど商店街を駆け抜けた。店員が小林を追いかけた時の様子は冒頭で記したとおり、商店街の複数の店主が記憶していた。

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計6点総額9000円程度の化粧品を弁償

「あまりに逃げ足が速く、追いつくのは難しく思えましたが、自転車に乗った通行人の方が追いかけ、商店街出口のホテル付近で取り押さえました。その後、追い付いた男性店員と店に常駐する警備員が、彼を店の事務所に連れて行こうとしたのですが、小林さんは必死に抵抗していた。なおも逃走しようとしたり、1万円札をだして『見逃してください』『勘弁してください』と食い下がっていました」(前出・商店街店主)

小林が取り押さえられた現場 ©文藝春秋

「だめです」「万引きは犯罪です」といった押し問答を30分ほど続けた後、店員に諭され観念した小林は現場となったドラッグストアの事務所に連れていかれた。そこに110番通報を受けた警察も駆けつけ、聴取がおこなわれた。

「警察がきてからは必死に謝っていたそうです。『何でこんなことをやったのか?』という問いかけには『気が高ぶってやった』と説明したのですが、コートのポケットや袖口からは計6点総額9000円ほどのヘアオイル、ヘアミルクといった化粧品がでてきたのです。店側は9000円分の品代を小林に弁償してもらい、その後は『あとはお任せします』といって警察に小林を引き渡したそうです。