カムカムが帰ってくる! 4月8日に最終回を迎えたNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。大反響を受け、GWには170分の総集編(BS4K:5月1日午後1時30分~4時20分、総合:5月4日午後2時~4時59分)が放送される。NHKによれば「別の作品としても楽しめるくらい」大胆な編集を施したという。
「週刊文春」はこれまで何度もカムカムについて報じてきた。総集編が放送される今、もう一度読み返したい記事をあらためて公開する。日々鍛錬し、総集編に備えよ――。(初出:週刊文春 2022年3月17日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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物語のキーマン・伴虚無蔵を演じる松重
「ド貧乏だったよ。バイトをしながらギリギリの生活で芝居をやっていた。あいつは昔から真面目で、一緒に飲んでても『明日、朝4時から築地のやっちゃ場(青物市場)でバイトだから』って帰っちゃうんだよね」
そう話すのは松重豊(59)の旧友で、世田谷区経堂のバー「アナログ」の店主、奥山浩司氏だ。
日本の時代劇を支えてきた“大部屋俳優”伴虚無蔵を演じている松重。ひなたを映画村のバイトに誘い、師匠的な存在として物語のキーマンとなっていく。
アクション指導の中村健人氏が明かす。
「モデルは『5万回斬られた男』と呼ばれた故・福本清三さん。福本さんは礼節を重んじる方でしたので、松重さんは『こうした方がいいよね』と、道場の出入りの際に一礼することを提案してくださいました。立ち回りに関しては『言ったとおりにやりますので』と」
着流し姿で暮らし、侍言葉を使う変わり者の虚無蔵は、いまや松重の新たなハマリ役となりつつある。
松重のこれまでの代名詞といえば、「孤独のグルメ」(テレ東系)の井之頭五郎役。2012年に始まった同シリーズはすでにシーズン9まで放送済みだ。
「ギャラは30万円からのスタートでした。以降も少ししか上がってない。松重さんは倹約家で、ジムに通わずウォーキングと1000円の腹筋ローラーで体型を保っている」(ドラマ関係者)
松重は下積みが長く、苦労続きだった。明治大学時代は家賃2万4000円の4畳半・風呂なしアパートに住み、三谷幸喜主宰の劇団「東京サンシャインボーイズ」に参加。その後、蜷川幸雄の劇団に入団するもバイトに明け暮れる日々。
「俺とは下北沢の『珉亭』(中華料理屋)のバイト仲間だった。基本、土日の混雑時に助っ人として行くので、あいつも俺も他のバイトとかけもち。珉亭は賄いもあるし、バイトの後の銭湯代も出るしビールも飲める。洗い場以外は天国みたいなバイト。時給は500円だったかな」(前出・奥山氏)
バイト仲間には、ザ・ブルーハーツ(当時)の甲本ヒロトや、その弟で「カムカム」で安子の父親役を演じた甲本雅裕もいたという。