作家の円居挽さんを招き、「西村京太郎作品に学ぶ!『ミステリの書き方』講座」と題して「オール讀物」が開催したオンライン講座が話題を呼んでいる。文春ムック『西村京太郎の推理世界』をテキストにした講座の内容は多岐にわたるが、ここではその一部、作家志望者のヒントになりそうなエッセンスを紹介する。(全5回の5回目/4回目から続く

若かりし頃の西村京太郎氏

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円居 僕自身、小学4~5年生の頃から西村京太郎作品に親しみ、知らず知らず自分の血肉になっていると思うんですが、今回、西村先生の追悼として刊行されたムック『西村京太郎の推理世界』を読むと、思った以上に現在の自分の問題意識にピタッとはまるところがありました。いま自分がチャレンジしている“ミステリの新しい書き方”の参考になるんじゃないかと。

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 本題に入りますと、ムックの200pに、赤川次郎先生と西村先生の、レジェンドどうしの対談が載っていますね。ここでとても重要なことが話されています。

赤川次郎氏と西村京太郎氏の対談 ©文藝春秋

 実際にムックを手にとって確認してほしいので、さわりだけ紹介しますが、西村先生は、

「最初に謎を立てて、解決方法は書きながら考えていく」(206p)

「書いている自分でも、展開の先が分からないから楽しい」(209p)

 こう語っているんですね。

  毎月、多くの締切を抱え、複数の連載を同時に書き進めていく中で、どうやって原稿のクオリティとモチベーションを維持していたのか? これはプロの作家ならずとも気になるところですが、そのヒントをつかむ上でも、重要な言葉である気がするんです。