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《「すき家」が方針転換》パート女性の“ワンオペ”突然死を受け「6月30日までに全店で朝帯のワンオペを廃止する」と発表

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すき家から届いた長文の回答

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 取材班は5月23日に株式会社すき家に、事実関係についての確認と、加奈子さんが「ワンオペ勤務中に亡くなったこと」についての見解を問う文章を送った。すると、その2日後の夕方に以下の内容の書面が届いた。

〈勤務中にお亡くなりになった山田さん(文章中は本名、以下同)、そしてご家族のみなさまには心よりお悔やみ申し上げます。

 

 当社では過日公表しているとおり、2014年以降、深夜帯(0時~5時)の犯罪や事故を未然に防ぎ、従業員が十分な休憩時間を確保できるよう、深夜帯(0時~5時)の複数勤務体制を徹底し、現在に至っています。これにより地域の警察にもご協力いただいて強盗などの犯罪は未然に防ぐことができ、また従業員の職場環境も改善することができました。

 

 深夜帯のあと、午前5時以降の朝帯で、現在、複数勤務体制で営業している店舗は、平日は約6割、休日は約8割となっています。残りの店舗で一人勤務体制の店舗もありますが、朝帯が一人勤務であったことに起因する重大な事件や問題は発生していません。

 

 山田さんがお亡くなりになった17日当日は、前日16日の22時から翌午前5時にかけての深夜帯を二人体制で勤務、その後上記の基準に沿い、朝帯は午前9時までの予定で一人勤務しておられました。

「すき家」からの回答

緊急通報ができる「ワイヤレス非常ボタン」が重要な役割

 すき家ではお客様と従業員の安全を守るため、昼夜問わず本部に緊急通報ができる「ワイヤレス非常ボタン」(社内の正式名称)を常時身に着けることを義務化しています。これは店舗内のどこにいても使用可能で、突然の体調不良を含め、店舗や従業員に異変があった際には速やかにボタンを押してすき家の本部に通報するよう徹底しています。誤発報してもかまわない、ほんの些細なことでも通報するように、と教育しています。

 

 ことに朝帯で一人勤務になった場合はこの「ワイヤレス非常ボタン」が重要な役割を果たします。本部には24時間体制でスタッフが常駐しており、通報を受けた場合、ただちに本部と店舗との間で音声のやり取りが行われ、必要であれば警察や消防に即刻連絡する仕組みになっています。実際この仕組みで従業員が本部のスタッフに体調の異変を訴え、本部から救急車を手配して救護したケースもあり、従業員も「いざとなれば本部が対応してくれる」という安心感をもって勤務することができます。直近の例では、5月19日に一人勤務中の従業員が、自身の体調の異変に気づき、「ワイヤレス非常ボタン」を押しその後に倒れたことがありました。本部の防犯カメラの映像からはその様子が伺えなかったため警察へ通報。救急隊員も駆けつけた結果、大事に至りませんでした。