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《「すき家」が方針転換》パート女性の“ワンオペ”突然死を受け「6月30日までに全店で朝帯のワンオペを廃止する」と発表

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従業員向け健康診断を「残念ながら受診されていませんでした」

 ただ、これはあくまでもルール通りきちんと「ワイヤレス非常ボタン」を装着していた場合です。今回は残念なことに山田さんが「ワイヤレス非常ボタン」を装着しておらず、本部で異変を察知することができませんでした。

 

 会社としても店舗への「ワイヤレス非常ボタン」装着の徹底が足りなかったと反省しています。二度とこうした事態が起こらないよう、今年1月下旬にも全国の店舗に「ワイヤレス非常ボタン」の装着をより厳格に徹底するよう通知を出しました。今後も定期的に呼びかけをしてまいります。

 

 山田さんがお亡くなりになった原因は心筋梗塞であったと聞いています。心筋梗塞の場合、多くはいきなり大きな発作になることはなく、前兆となる胸の痛みや動悸などの症状が現れます。お亡くなりになる前年の8月には深夜(22時-5時)に勤務する従業員向け健康診断の対象であることから、ご本人へ通知はしていたものの、残念ながら山田さんは受診されていませんでした。こちらについてはご本人もさることながら組織としても受診を徹底すべきものであり、会社として重くとらえています。

©️iStock.com(写真はイメージ)

掛け持ちは本人の希望、「弔慰金10万円」「法定の労働時間内」

すき家の回答
すき家の回答

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 山田さんの直前の勤務の詳細については、前日の16日は午前2時から5時まで別の店舗にて勤務。その後退勤し、17時間後の16日の22時より当該店舗にて勤務していました。

 

 複数の店舗で「助っ人」として召集され一人勤務していたという点ですが、事前の契約に基づき本人同意の上、別の店舗で勤務していただいた実績はあります。山田さんは相応の収入が必要とのことで、一店舗での勤務では叶わないことから、本人の申し出をいただいて勤務していただきました。

 

 山田さんが亡くなられたあと、山田さんが加入していた労働組合から、規定に基づきご遺族に対し弔慰金として10万円をお届けしています。

 

 山田さんがお亡くなりになる直前の労働時間は法定の労働時間内であり、過剰な無理をされていた事実はありません。しかし勤務時間帯は深夜であり、健康診断をきちんと受けていただいてご病気を早く察知できていれば大事には至らなかった可能性もあります。当社としては今後、全国の対象従業員に対して健康診断の受診を強く徹底してまいります。

 

 今回の件は深夜勤務者であった山田さんの健康診断受診を組織として徹底できていなかったこと、店舗の従業員一人ひとりに対して「ワイヤレス非常ボタン」の常時装着を徹底できていなかったことが大きな要因であると当社としては考えています。会社としてこの件を重くとらえ、従業員の健康管理、安全管理を徹底するとともに、制度面からも設備面からも、従業員がより安全かつ快適に働ける仕組みの導入を急ぎ検討してまいります。

 

 末筆ながら、あらためて山田さんのご冥福をお祈りいたします〉