車の中で藤田と男性のシルエットは一つに重なった
そして栗東滞在が間もなく終わろうかという6月27日のこと。
朝の琵琶湖畔を悠々と走り抜け、駅前の通りに軽快なエンジン音を響かせる大型SUV。運転席の男性が微笑むと、隣に座る女性もまた笑顔で応じる。気怠そうに列をなす通勤の車を横目に、二人が乗ったSUVは、とあるマンションの駐車場へと吸い込まれていった。この女性が、藤田だったのである。
助手席から降りた藤田がマンションのエントランスをくぐると、男性は車を停め直して後を追う。そして、藤田が入った部屋のドアを開け、中へと消えた。前夜から一緒に過ごし、二人して朝に帰ってきたのだ。
ここは藤田が、栗東滞在用に借りていたマンスリーマンション。二人が部屋に入り、2時間後の午前11時。先にマンションを後にしたのは男性の方だ。彼が部屋に置いていた私物だろうか。箱と紙袋を持って運転席に乗り込み、走り去っていった。
15分後、マンスリーマンションの関係者に部屋のチェックを受けると、藤田もまたわずかばかりの手荷物を持って、駐車場に停めていた愛車を発進させた。彼女が向かったのは近所にあるコンビニの駐車場だ。そこには、先に出た男性のSUVがあった。藤田は愛車をSUVの隣に付けると、破顔して助手席へと滑り込む。向かい合った二人のシルエットは、やがて一つに重なった。
そして別れを惜しむように、男性に手を振りながら愛車に乗り込むと、藤田は茨城の美浦に向けて走り出した。一体、この男性は何者なのか。彼を知る関係者が言う。
「栗東トレセンの厩舎スタッフです。20代後半で、とても明るくて元気な人。活動的で外で遊ぶのが好き。女性にもモテます。彼と藤田さんは、今回の武者修行中に知り合ったようです」
この日、美浦に戻り、週末は福島のレースに出場した藤田。7月3日のレース後、自宅近くの定食チェーン店での食事を終えて出てきた彼女を直撃した。