以前より、不確かな医療情報や安全でないダイエット情報などはネットに氾濫しており、その悪影響が指摘されてきた。日本でも2016にDeNAの情報サイト「WELQ」で多くの不確かな医療情報が流され、検索上位にあがりやすかったことが大きな問題となった。
医療やお金など、人生における重要度が高いジャンルは「Your Money or Your Life(YMYL)」と呼ばれ、内容が正確だと担保されない限り検索上位には来ないのが今の流れだ。特にコロナ禍に入ってから、Googleは正確な医療情報の提供に努めており、この姿勢が徹底されている。
一方でそうした配慮が情報の見つからなさに影響している……と辻さんは説明する。
「世の中は複雑化しています。Googleが自ら語ることはないですし、正式に認めることもないと思いますが、(検索結果として)出したい情報をコントロールしきれていない部分が増えているでしょう。その中で彼らもギリギリ必死に対応を続けている。過去のGoogleは『文字検索エンジン』でしたが、今のGoogleは『意味検索エンジン』になってきています。大手はどこもそうなのですが。どこかでGoogleも、現在の課題を乗り越えていくのだとは思いますが、どのくらいの時間がかかるかはまだわかりません」(辻さん)
「いかがでしたか?」ばかりがヒットする状態
では、Googleが対応できていない部分はどこか?
「『いかがでしたか?』で終わる、いわゆるトレンドブログに代表される記事です。私もこの部分には不満しかない」(辻さん)
例えばこんな例がある。
なにか事件が起きると、すぐにトレンドブログは記事を作る。事実かどうかを確認せずネットの噂などから記事が作られ「この事件の犯人はこんな人」「話題のあの人はこんな人」といった記事が量産される。その後に大手メディアが正確な情報を報道すればある程度上書きされるが、そうでなければネットには不正確な情報だけが残ることになる。