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「昔のGoogleなら正確な単語でないと検索に出てこなかったんですが、今はどうにかして検索結果をGoogle自身が出そうとします。結果として大手サイトに情報が少ない分野については、不確かな情報もピックアップされやすい。そこにつけ込んで、トレンドブログはビジネスをしているのです」(辻さん)

写真はイメージです ©iStock.com

日本語は「世界でいちばん生産単価が安い言語のひとつ」

 トレンドブログにはもう1つ、大きな課題がある。

 トレンドブログが検索で出てきやすい理由は、それだけ日々大量の文章が作られ、真偽が精査された情報よりも早くネットにアップロードされていくから、という部分がある。

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「これは私も聞いた話ですが、日本語は今『世界でいちばん生産単価が安い言語のひとつ』だそうです。日本人は識字率が本当に高く、質を問わなければ、クラウドソーシングなどで文章を書ける人を非常に安い価格で雇えてしまう。結果として、大量の文章がトレンドブログのような形で作られてしまう、という課題はあると考えます」(辻さん)

 個人が情報発信するのは重要なことだ。インターネットが普及し始めた1990年代から2000年代にかけては、個人での自発的な情報発信も多数あった。

 だが現在、SNSの隆盛もあってか、そうした発信の量は減り、一方で、トレンドブログのような質の低いコンテンツは増え続けている。

「大手偏重の検索結果には問題があると私は考えていますが、Googleが大手を優先せざるを得ない理由もわかります。信頼性が高い情報を重視せざるをえない状況があり、その中で価値ある個人からの情報発信が減っているのは確かです。まるでインターネット上には全ての情報があると思っている人も多いですし、『インターネットにないものに価値がある』と言われることもあります。ただ私は逆に、現状ではネットに存在しないものが多すぎる、と感じるようになりました。だからこの5年ほどは、自分としても『インターネットを守るために、ちゃんと検索されるサイトを作らなければならない』と思うようになっています」

写真はイメージです ©iStock.com

 辻さんはそう話す。辻さんの手掛けるSEOという職種は、企業のために検索に現れやすいサイトを作るのが仕事だ。だが一方で、SEOとはどんな仕事なのか、正確に知られていないのが実情だ。

 インタビュー後半では、辻さんがSEO界のトップクラスになっていくまでの流れについて触れていく。