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なぜ産経新聞に広告が掲載されたのか?
対して一般紙は世間の狂騒に静観を決め込んだが、異彩を放ったのが産経新聞だった。広告にはこうある。
〈これを「反社会的行為」として非難する声もあります。しかし、それは明らかに、現憲法の保障する「信教の自由」「婚姻の自由」を侵害するものです〉
当時、霊感商法や正体を隠した勧誘が社会問題化していた教団への肯定メッセージを、全国5大紙の1つ、産経が掲載したのだ。しかも8月18日にも再び、同じ広告を載せている。
産経新聞社広報部に広告掲載の経緯を聞いてみると…
産経といえば日本を代表する保守紙。一方、統一教会の文鮮明教祖は68年、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合」を結成し、岸信介氏ら日本の保守政治家と親密な関係を構築していく。産経OBが語る。
「教団を容認していたわけではないが、歴史的にみて『勝共』の路線が一致していたのは確か。産経は73年にも自民党から広告費を得て、日本共産党を批判する意見広告を掲載している」
結果として、遠からぬ距離感を保ち続けてきたのだ。
「98年、山梨で開催された統一教会系政治団体の講演会場に、産経新聞の購読パンフレットが置かれていました」(ジャーナリスト・鈴木エイト氏)
なお、今年8月、国際勝共連合から応援を受けていたことを認めた自民党の北村経夫参院議員は、産経新聞で政治部長、執行役員などを歴任した人物だった。
産経新聞社広報部に改めて広告掲載の経緯を問うと、
「広告や編集に関することにはお答えしておりません」
その歯切れの悪さが何かを物語っていた。