憧れの棋士は…
間もなく、昇段者2名への共同記者会見が始まった。
――プロ棋士としての目標をお願いします。
藤本「プロとしての実力があるかどうか、まだわかっておらず、知識も足りていないので、まずはそれを増やしていきたいです」
齊藤「振り飛車党なので、振り飛車を盛り上げていけたらと思います。25歳という遅いデビューなので、頑張っていけたら」
――憧れの棋士はいますか。
藤本「羽生先生(善治九段)です。ずっと第一線で活躍されているので、自分もそのようになりたいです」
齊藤「木村先生(一基九段)です。木村先生もプロ入りは早くなかったですが、初タイトル最年長獲得など、長い間に努力を重ねられたのがすごいなと思っています」
――奨励会時代を振り返ってみて、辛かった時期は?
藤本「2級と初段で止まった時が、自分の実力の向上を感じ取れず、辛かったです。初段の時に香川から大阪へ引っ越して、改めて頑張らなければと思いました。三段リーグも成績は良かったですが、なぜ勝てたのかがよくわかりませんでした。自分で納得できる将棋を指したいです」
齊藤「一番苦しかったのは初段、二段時代です。二段から初段に降段したこともありました。有段の部屋にいると年下の会員が増えてきて、大卒の年齢である私が、小学生の会員と指すというのが恥ずかしいというか、つらかったですね。
三段になってからは同年代が多くなったので、もともとの三段よりかは気楽に戦えたのかと思います。つらい時期を乗り越えたのは高田(明浩)四段に研究会に誘っていただいたのが大きかったですね。高田四段も年下ですが、例会と異なり、研究会で年下と指すのは気になりません」
「1局目が終わった後も表を見ていなかった」
――四段昇段が決まった瞬間のお気持ちは。
藤本「まだ実感がわかないというか、そもそも今朝の時点では自力ではなく、1局目が終わった後も表を見ていなかったので状況がわかっていなかった。なので気負わず指せたのはあったかもしれません。2局目の勝ち印を押したときに昇段を伝えられてビックリしました」
齊藤「今朝の時点で自力はありましたが、2連勝しないと上がれないと思っていたので、まずは勝つしかないと思っていました。1局目は負けでしたが、自分なりに頑張れた将棋だったと思います。
2局目開始時点では4番手だったので、昇段は考えず、1局目のような将棋を指して来期につなげられればと思っていました。自分の対局が終わった時はまだ決まっていませんでしたが、古田三段の対戦相手である宮田(大暉)三段がハンコを押しに来るのを見て、知りました。信じられないという感じです」
後日、藤本新四段の師匠である井上慶太九段、そして齊藤新四段の師匠である杉本昌隆八段に話を聞いた。