文春オンライン

横切るリス、緑に覆われた約12キロ…北海道で1年に1ヵ月だけ通行できる「幻の道路」をドライブすると?

2022/11/26

genre : ライフ, 歴史,

note

チョボチナイゲート側はアップダウンが激しい1.5車線

 開放されているチョボチナイゲートに入ると、いきなり目の前を大きなリスが横切った。その後すぐ、「11%」の勾配標識が目に飛び込んでくる。100m進むと高度が11m上がるという意味で、角度に直すと6度強。その後も、林の中を蛇行する1.5車線の道路脇に、何度も勾配標識が現れる。

 道幅が狭いことも手伝ってスピードは出しにくいが、この季節は窓を開けて走ると気温も最適(この日は車外気温が17~18度だった)で、心地よい森林浴ドライブとなる。

森の中の1.5車線区間
分岐する林業専用道(江卸越支線)。一般車両は立ち入れない

 アップダウンが続く細道の途中、江卸越支線という林業専用道が右の林の中へ分岐している。道道を外れたスペースに工事用車両が駐車していて、「工事用車両出入口」ののぼりが立てられているが、今日は人影はない。専用道の入口はチェーンで封鎖されているので、一般車両は立ち入れない。こうした林道が、この後もいくつか分岐している。

ADVERTISEMENT

 ただ、工事と言っても、この1.5車線の道道の本格的な拡幅を図っているわけではない。この区間は計画当初、トンネルや大型橋梁によって忠別湖の東岸を経由して富良野方面へ通じるはずだった。

 だがその後、代替ルートとなる他の高速道路や国道の整備が進み、建設の費用対効果の低下が見込まれたことから、建設済みの区間はそのままとしつつ、残りの未開通区間は1.5車線で整備することにして早期開通と大幅なコスト削減を図った。それがこの区間なのだ。したがって、現在の細い道路が完成形なのであって、将来も拡幅の可能性は皆無と思われる。

ルート中最大の名所・嶺雲橋を訪れると…

 ゲートから約10分走ったところで、道路が上下2車線に拡がった。ここから先は対向車を気にする必要もなく、よりいっそう快適なドライブコースとなる。

 そこから2分も経たないうちに、前方に、左へ大きくカーブする巨大な橋が見えてきた。区間中最大の名所として注目を集める嶺雲橋だ。正しい読み方は「れいうんはし」で(橋梁にひらがなのプレートが設置されている)、この先にある橋も、すべて「~ばし」ではなく「~はし」と濁らない。

2車線区間を快走しながら嶺雲橋へ向かう
嶺雲橋の南方より東川北7線ゲート方面を望む
嶺雲橋の欄干に設置されているプレート

 この道路の訪問者であれば誰もが知る絶景ポイントとあって、橋の手前に4台、橋上に3台、四輪車が駐車していて、橋上を思い思いに歩いている。休日になるともっと賑わうらしい。特に橋見学のための駐車スペースが確保されているわけではないので、なるべく静かに絶景を楽しむなら、平日の早い時間帯が望ましいだろう。