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 話を簡単にするために、プラストローと紙ストローの2種類で説明しよう。いずれも使用は1回限りで使い捨てることを前提にしている。米国内で使われているプラストローは日に5億本で、重さは1本0.52グラム。一方、紙ストローの重さは1.15グラムなので、重さにして倍の原料が必要ということになる。

温室効果ガスの排出量は“紙ストロー”が“プラストロー”の4.6倍

 同論文では、悪化の可能性がある地球環境として、つぎの8項目を取り上げている。「地球温暖化」「海洋酸性化」「水域の富栄養化」「オゾン層破壊」「有毒物質による汚染(淡水域)」「有毒物質による汚染(陸域)」「人体に影響する有毒物質」「化石燃料の消費」の八つだ。

 評価のためには、米国内の事情を考える必要がある。たとえば、ポリプロピレンの原料はおもに原油と天然ガスからつくられているとか、運送にはディーゼルトラックを使うとか。都市部のごみは大部分が埋め立てられている。こうした現状を考慮に入れ、ストローの種類ごとにさきほどの8項目のそれぞれについて計算する。さらに合算もして、地球環境に対するトータルな悪影響度を評価する。

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 その結果、全量埋め立て廃棄の場合、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量は、紙ストローがプラストローの4.6倍にもなっていた。紙ストローだと63%、プラストローだと80%が原料生産の段階で排出されている。その後の使い方や廃棄のしかたを工夫しても、排出量を削減するのは難しいということだ。

 このほか、紙ストローはプラストローにくらべて海洋酸性化については2.2倍、人体に影響する有毒物質では4.4倍、富栄養化についても4.4倍の脅威になるという結果がでている。逆にプラストローの悪影響が目につくのは化石燃料の消費で、これは紙ストローの2.2倍だ。

 地球環境に対するこれら8項目の影響を合算した「相対的環境影響指数」をみると、紙ストローの悪影響度はプラストローの2.1倍になっている。総合的にみて、紙ストローはプラストローよりかなり環境に悪いのだ。生分解性プラスチックであるポリ乳酸製ストローの悪影響度はプラストローの2.7倍。紙ストローより悪い。