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200体以上のコンクリ武将、無関係なのになぜか登場する武田信玄…“東海地区最強の珍スポット”「関ケ原ウォーランド」の行方〈家康ならどうする!?〉

200体以上のコンクリ武将、無関係なのになぜか登場する武田信玄…“東海地区最強の珍スポット”「関ケ原ウォーランド」の行方〈家康ならどうする!?〉

天下分け目の「関ケ原ウォーランド」

2023/01/09
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 現在、園内にあるコンクリート像は全部で207体。開業当初は230体あったが、風化して減ってしまったそうだ。

 その全てをコンクリート像作家である浅野祥雲氏が手がけた。230体という途方もない数の像を、1体ずつ穴を掘って基礎をつくり、鉄筋を組んでコンクリートを流し込んで作っていった。全てを作り終わるまでに5年を要し、開園に間に合わなかったため、一部は木の板に武将の絵を描いて代用したという。

200体以上の園内の作品はすべて、コンクリート像作家として知られる浅野祥雲氏の手によるもの

「なぜ、武田信玄がいるんですか?」という質問への想定外の回答

 そして気になるのが、なぜ武田信玄がいるのかということだ。歴史にこだわり、関ケ原の戦いを忠実に再現しているのに、なぜ全く関係のない武田信玄の像を作ってしまったのか。

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 西村館長は「創業者の父親が武田信玄のことが大好きで、あれも遺言だったんです」と語る。しかし、武田信玄をそのまま配置すると史実と合わない。そこで、武田信玄の亡霊という扱いにしたのだという。まさかの遺言だった。

 西村館長のことも聞いてみた。先代の頃から関ケ原ウォーランドに勤務していた西村さんは、決して歴史に詳しい訳ではなかったという。

 30年ほど前、資料館にあるジオラマが壊れて動かなくなってしまった。メーカーに問い合わせると、修理費は800万円をくだらないという。社長から「機械の代わりにお前が説明しろ」と言われた西村さんは、ジオラマの前に立って来園者に説明することになった。

30年ほど前、ジオラマが壊れて動かなくなってしまったことが大きなきっかけに…

 来園者の中には歴史が好きな人も多く、いい加減な説明はできない。歴史のことを猛勉強し始めた西村さんだったが、勉強するうちに興味が湧き、自ら調べるようになったそうだ。西村館長の歴史講話が始まったきっかけは、ジオラマ装置の故障だった。