近田春夫さんの新刊『グループサウンズ』は1960年代後半に日本の音楽史に突然現れて大ブームを巻き起こしたグループサウンズの当時の熱狂と現在の音楽シーンに与えた影響を分析します。
西寺郷太さんの新刊『90’s ナインティーズ』は1990年代後半、数多くのバンドがしのぎを削っていた下北沢を舞台にした自伝的小説です。
ミュージシャンとしても文筆家としても活動されているおふたりに、それぞれの新刊の話題から、グループサウンズの魅力まで、熱く語り合っていただきました。(全2回の1回目/続きを読む)
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――『グループサウンズ』と『90’s ナインティーズ』は描かれた時代は違いますが、どちらも熱気を感じる本です。それぞれの本に対してどのような感想を持たれましたか?
西寺 『グループサウンズ』、一気に読ませていただきました! 世代的にそれぞれのバンドの小刻みな映像や楽曲のイメージはいくつか知っているんですが、どうしても流れがわかりづらかったことがこの本でかなりすっきり身体に入ってきて。
近田 ありがとう。わりとグループサウンズのことって、ときどきマニアックな人がマニアックな文章を書いたりするんです。その部分では断片的な知識というのはわりとみんな持っていたりするんですよ。だけど、もうちょっと全体として何だったのかという、保守本流と言うと変だけれども、オーセンティックなグループサウンズというものを形にしておきたいなというのがあったんですよ。
西寺 歴史書ですね。もちろん堺正章さんや井上順さんのような芸能界のスーパースターや、沢田研二さん、ショーケンさんはじめ、むしろ成熟した俳優やエンターテイナーとしての姿は小さい頃からテレビで観てはいたんですが、それ以前のバンド時代は知らないことだらけで。
近田 そりゃ俺より若いんだから。当然そうだよね。
ワイルドワンズの思い出
西寺 なにより若き日の近田さんご自身がワイルドワンズのバックでキーボードを弾かれていたのはめちゃくちゃびっくりしました(笑)。
近田 ワイルドワンズのキーボードは、ほんとは渡辺茂樹がいたんですけど。
西寺 チャッピーさんですね。実はこの本で彼の存在と当時の人気の大きさを知って、動画を見たんですがフルートもキーボードも歌声もめちゃくちゃ魅力的で驚きました。グループ加入の時点で17歳とかですよね。