障害が大きいほど燃え上がるのは、二次元への愛も変わらない。推しのためならいかなる代償もいとわない、情熱あふれる痛車オーナーの実態に迫る!
今回は、「お台場痛車天国2023」出展オーナーのなかから、『紅の豚』の世界観を独自に表現する「TERA工房」さんをご紹介。
「趣味に興じる父」であることの意味
この車両は、『紅の豚』の主人公ポルコ・ロッソが搭乗する飛行機「サボイアS.21」をイメージして制作したものです。
もともとは軽自動車なのですが、このデザインのために構造変更をして。内外装はすべて自分で、ホームセンターなどで集めた材料から作っています。普段の仕事がリフォーム大工なので、こういうものづくりはライフワークみたいなものですね。
実際に車を作るときには、まず作品の舞台や時代なんかを考えながら、方向性を決めたうえで弄っていくんですよ。なので痛車といっても、キャラクターの顔を前面に出すのではなくて、あくまで世界観ありきの作り方をしていますね。まぁ、こういうのが痛車を名乗ってもいいんじゃないかなって。
でも、今でこそこうして車のイベントに参加していますが、もともと車弄りが趣味というわけではなかったんです。少し真面目な話になりますが、21年前に妻と死別し、1人で子ども3人を育てていくなかで、物事の考え方が変わっていったんですよね。
やっぱり、子どもは小学校高学年くらいになると、自立の意思が強くなっていくじゃないですか。そうやって子どもが外を向きはじめたときに、子どもを縛りつける親にはなりたくなくて。それで、親が家庭の外に何かしら趣味をもっていた方が、子どもの自立を促せるのではないかと思ったんですね。
そうして家事をしながらできる趣味を探した結果、たまたま行き着いたのが車弄りだったんです。朝ご飯を作って、上の子が遊びに行って、下の子は家にいるけど、お父さんは洗濯機を回す間に車を弄って、またお昼ご飯を作って、みたいな。
アニメの世界観を再現しようと思ったのも、子育ての過程でジブリ作品を好きになったというだけで、アニメ全般の知識はからっきしなんですよ。ただ、きっかけは子育てですが、車を弄る際には不思議と「子どもを喜ばせよう」みたいな気持ちにはなりませんでしたね。純粋に趣味として、自分の好きな世界観を表現することと、なにか唯一無二のポイントを作ることをモチベーションにしています。
今は子どもたちも成人して、一緒にオーディオを作ったり、こういうイベントを手伝ってくれたり。孫と一緒に家族で集まったりと、いい関係でいられてありがたいですね。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。