「面白いクリエイターはホットなメディアに集まる。ラジオはそうではなくなってしまった……」。レジェンドが今、ラジオ界に鳴らす警鐘とは――。
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僕は“イタズラ”の才能があるんですよ(笑)
――今年3月、名古屋発のインターネットラジオ局“Heart FM”が開局しました。発起人はZIP-FM(愛知県)で長年ナビゲーターを務めたジェイムス・ヘイブンスさん。昨年、文春オンラインで取材したピストン西沢さんの番組もスタートしました。聞くところによると、ジェイムスさんとピストンさんを引き合わせたのが克也さんだったとか?
小林 そうそう。J-WAVEで一番数字を取っていたピストンとやはりZIP-FMで一番人気だったジェイムスがそれぞれ同じように弾かれてしまって(笑)。僕は以前からジェイムスと親しかったので、立ち上げにあたって、やはり交流があったピストンを紹介したんです。理由は相性が悪いと思ったから。
――どういうことですか?
小林 二人はよく似ているんです。どちらも唯我独尊で、自力で番組スポンサーを見つけてきちゃうくらいバイタリティに富んでいる。似過ぎているから絶対に合わないと思ったんだけど、だからこそ会わせたらきっと面白くなるはずだと直感がはたらいた。いい落ち着き方をしたのは、ピストンが東京にいるまま、自分の部屋から番組(「HEART ATTACK!」)を放送することになったこと。つまり二人は滅多に顔を合わせない。「これは長く続くぞ」と思ったね(笑)。自分で言うのも何だけど、僕にはそういうイタズラの才能があるんですよ(笑)。
――ラジオもテレビも時代を追うごとにコンプライアンスを重視するようになりましたが、克也さんとしては?
小林 そもそもコンプライアンスという単語自体、日本じゃほとんど市民権を得ていなかった単語でした。もっとも、最初の頃こそ敏感だったけど、今じゃみんながその雰囲気に慣れちゃったようですけどね。
最初に敏感な反応を示したのは報道番組かな。「何々だということです」「何々と言われています」「何々と思われています」と、ネタ元や事実確認、責任の所在をぼやかしたような言い方がよく使われるようになって、昔のテキパキとした感じがニュース番組から無くなった。まあ窮屈さは年々増しているのかもしれないけれど、僕のようなラジオの人間からしてみれば「本質は全く変わらないよ?」という気持ちが強いですね。