小林 いまの民放ラジオ局の希望のひとつがradiko。僕の番組もradikoのおかげで北海道から沖縄まで聴いてもらえる。ただ、聞くところによるとradikoのユーザーはどうやら50代がコア層らしい。その次が40代と60代。つまり、若い頃、ラジオに思い入れの強かった世代が自分の好きな番組を探しているんですね。
雑誌の特集も、編集部の偉い人って大抵そういう世代でしょ?(笑)。で、30代から下の層になるとガクンとラジオへの興味が減る。昔の深夜放送って中学生や高校生が聴いていたでしょ? もちろんいまもそういう若者だっているけど、ともかくいまの10代の多くにとって、もうラジオは自分のメディアじゃないんですよ。
――たしかに10代にとっての日常の定番はYouTubeやTikTok、InstagramなどのSNSや音楽配信サービスのようです。
小林 僕の知人のテレビ局の人間は、「自分の子どもが親の仕事に関心がない」と嘆いていました。その子がテレビをほとんど見ないそうで(笑)。
ラジオのどこに問題点があるのですか?
――ラジオの問題点はどこにあると感じますか?
小林 まずラジオを取り巻く環境とラジオ局の構造が大きいでしょうね。かつてラジオには生だからこその強みがあった。ですが、いまはインターネットやSNSからだって生で出来るから、ラジオの生感が必ずしもフレッシュではなくなってしまった。
そもそも日本のラジオ局は免許制だし、多くは総務から番組スタッフまで何から何まで含めると何十人か何百人規模の大所帯ですよね。経営を回すのも大変だし、どうしてもフットワークが悪くなる。資本関係から放送畑を知らない銀行経験者の方が経営陣に収まるケースも多いし、一からDJを育てるような環境作りの余裕もない。
アメリカはそもそも人件費が高い国だし、ラジオ局の構造も非常にコンパクト。下手すると空き地にアンテナを立てて大きなバスの中から放送しているような局もあるし。社長としゃべる人と秘書だけで、あとは営業が一人いるだけ、みたいなケースもあってね。
――DJという存在については?