文春オンライン

「DJはもういなくなるかもしれませんね…」小林克也(82)が危惧するラジオ界の“今そこにある危機”

ラジオ界のゴッドファーザー小林克也インタビュー#2

2023/05/03

genre : エンタメ, 芸能

note

今のラジオ界をどのようにご覧になっていますか?

 例えば僕がやっている「FUNKY FRIDAY」(FM NACK5。毎週金曜日)は誰もやらないようなぶっ飛んだジングルが売りでね。時にはウケないヤツもありますけど、ちょっとした“遊び”の感覚がファンには好評で、みんなを煙に巻いています。基本的に音楽番組はあまり影響を受けていませんよ。

 コンプライアンスも大事だけど、僕自身は、情報は適切に取捨選択してこそ生きた情報だし、人物像というのは総合的に扱わないと浮き彫りにならないんじゃないの?と思いますけどね。

©文藝春秋 撮影/石川啓次

――克也さんが司会を務めるテレビ番組「ベストヒットUSA」は1981年から現在まで洋楽を紹介し続けている老舗番組としていまも好評放送中ですが、“洋楽”の捉え方も聴かれ方も80年代とは大きく様変わりしました。

ADVERTISEMENT

小林 ひとつには日本の音楽がレベルアップして面白くなったことも影響していると思います。つまり憧れる音楽が必ずしも洋楽では無くなったということ。なかでもアニメ文化の影響は大きいと感じます。

 アニメの主題歌って、今も昔も多くの人に聴かれるチャンスがありますが、今のアニメの主題歌って、音楽が絵を煽るような難解な構造になっていて、昔のように誰もが歌えるポップスではなくなったでしょ? そうした曲が日々次々とリリースされて全体のレベルを底上げしている。「FUNKY FRIDAY」のチャートコーナーではアニメの曲も集計していますが、チャート内の動きも目まぐるしいですね。

©文藝春秋 撮影/石川啓次

――では、ラジオ界についてはいかがでしょうか? 

小林 いまラジオは危機に瀕していると思います。各局の努力で成り立っているというか。長い不景気でスポンサーへの営業も苦労しているようですし。

――調べによると、2021年にインターネット広告費がマスメディア(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)の合計の広告費を超えたそうで。なかでもラジオの広告費は最下位。しかも年々下がっています。一方、ここ数年、音声コンテンツそのものはにわかに盛り上がりを見せています。ポッドキャストや前述のインターネットラジオ局、アプリから気軽に音声録音/配信が出来るサービスも登場しているし、雑誌ではラジオの特集も組まれています。