役職による賃金格差
さて、役職のありなし=賃金格差ですが、こちらもかなりシビアな結果が得られています。
下記の図は、役職別の賃金の推移を企業規模ごとに調べた結果です(非役職者は実線、課長職は点線、部長職は太線)。白いタテ棒は、部長級と非役職の賃金差、黒いタテ棒は課長級と非役職の賃金差が示されています。
ご覧の通り、1000人以上規模の大企業で賃金格差が著しく大きくなっていました。
部長級と非役職の差は約40から約63へとおよそ23ポイント拡大、課長級と非役職とでは約30から約42と12ポイント広がっています。
報告書では大企業で見られる役職間賃金格差は、90年代以降の新自由主義やグローバリズムの進行が影響していると指摘。まず上場企業役員の報酬が上昇し始め、それに引きずられる形で「部長級」が上昇。「課長級」は10年遅れで上昇したものの10年以降は小休止状態が続いています。
要するに偉い人のルールは、「分配は自分たちから」。責任は下に押し付けても、手柄は自分たちが持っていくのです。
具体的な数字で見ると、非役職者の平均賃金は月27.7万円(40.7歳)、課長級は47.6万円(48.7歳)、部長級57.7万円(52.8歳)です。ヒラと部長級とでは月収30万もの格差が存在します(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2021年)。単純に年収に換算すると360万円! これはかなり大きな差です。
「だって部長とヒラじゃ、仕事の質が違うし、仕方ないんじゃね?」と言われてしまうと、「まぁ、そうですよね」と返すしかないのですが、自社の部長たちの顔を思い浮かべると……少々納得いかない人も多いのではないでしょうか。
たかが管理職、されど管理職
いずれにせよ、以上のデータはすべて「現実」であり捏造は一切ありません。
みなさんが薄々気がついていたことは本当でした。40歳で役職のつかないサラリーマンは4割。「ヒラのままだと賃金据え置き」という悲しき現実も受け入れてください。