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 メールやWebのアプリを起動すれば、大画面で細かい文字もキッチリと読むことができる。映画を再生すれば、まるで映画館で見ているような没入感を味わえる。部屋の空間上にアプリや動画の画面を好きなだけ自由に浮かび上がらせて表示するのは、まるでSF映画のようだが、すでにアップルは現実のものとしてしまった。

Appleが「空間コンピューターだ」と言い張る理由

 Apple Vision Proに似たような機械は、これまでメタバースやVRというように言われていた。ゴーグルを装着することで、コンピューターグラフィックスで描かれた空間に飛び込み、ネットでつながっている別の人物と会話できたりするというものだ。

©筆者撮影

 しかし、アップルは「空間コンピューターだ」と重ねて言い張っていた。このことは、どういうことを意味しているのだろうか。

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 アップルは、創業者であるスティーブ・ジョブズがMacを出したときには「マウス」という入力補助装置と、パソコンのアイコン表示を組み合わせたことで、コンピューターを一気に使いやすくした。

 さらに、iPhoneでは、画面を直接触って操作できる「タッチパネル」で直感的な使い勝手を実現したことで、携帯電話を再定義した。

 今回、アップルはApple Vision ProをMac、iPhoneに次ぐ「第3の革命」と位置づけているようだ。アプリのアイコンを見るとそれに反応して、指をポンと軽くつまむと起動するという視線入力は、まさに次世代のコンピューターにおける「操作体系」として革命を起こすことが予想されるのだ。

「発売当初は全く売れない」ものでも、毎年新製品を出し続けて“市場を作ってきた”Appleのとる「次の一手」は…

 ただ、過去を振り返ってみると、アップルのこうした取り組みは、当初、全く理解も評価もされないという歴史だったりもする。

 Macは操作性に優れ、デザイナーやカメラマンなどクリエイティブ職には支持されたものの、一般的にはマイクロソフト「Windows」には歯が立たなかった。

 iPhoneも2007年にアメリカで発売された当初、日本では「ガラケーのほうが機能が豊富」「ツメの長い女性にタッチパネル操作は不向き」と散々であった。