〈あらすじ〉

 映画監督のパナヒ(ジャファル・パナヒ)は、イラン政府から映画製作と出国を禁じられている。そこで、国境に近い小さな村に身を隠し、隣国トルコの現場にいる助監督にリモートで指示を出し、密かにドキュメンタリードラマ映画を撮影することに。偽造パスポートでフランスへ国外逃亡しようとしているカップルの物語だ。

 一方、滞在する村では、因習によって仲を割かれた若い男女の関係が噂になっていた。村人たちは、パナヒのカメラに彼らの有罪証拠が収められていると騒ぎ出す。

〈解説〉

『ある女優の不在』に続く、ジャファル・パナヒの監督・脚本・製作・主演作。自身がモデルの映画監督を軸に描く、2組の愛し合う男女の物語から、イランの社会問題が浮かび上がる。第79回ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞受賞。107分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★☆☆政府からの締めつけを逆手にとった、笑いを含んだ映画だが、イランの国情を知らずに観ると物足りず。もう一味ほしい。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆胆の据わったメタフィクション。工夫を凝らしたサバイバルに驚くが、映画作りに伴う深い苦みも、臆さずに描いている。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★☆☆今までになく穏やかに感じられる場面もあるが、そう表現せざるを得ない恐怖が裏にある。パナヒ監督の発信力の賜物。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆諧謔化した自画像を軸にイラン社会の抑圧を抉る重層的な語りに驚嘆。『これは映画ではない』の勇敢な鬼才ならでは!

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★★全編から映画は芸術性が織り込まれてこそという確信的魅力が溢れる。監督自身の自伝的問い掛け、撮り続ける姿勢に星。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
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INFORMATION

『熊は、いない』(イラン)
9月15日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
https://unpfilm.com/nobears/