「どうしても手術を避けたい…!」そんな人はどうする?
現在「スリーブ状胃切除術」は健康保険の適用となり、「スリーブバイパス術」は先進医療(新技術の治療の部分は全額自己負担だが、それ以外の検査などには保険が利く治療法)に認められている。
笠間医師によると、現状で最も減量効果が大きいのは『スリーブバイパス術』で、重度の糖尿病の患者でも糖尿病の改善が見られるという。笠間医師はこの術式を2007年に開発し、アジアを中心に海外でも広く行われている。四谷メディカルキューブでの手術数はすでに300を超えている。
これら減量手術は、腹腔鏡下手術として行うことを基本としている。開腹手術のようにおなかに大きな傷跡が残らないため、審美性に優れるだけでなく、開腹手術よりも合併症が少ないという利点がある。
ただ、中には「どうしても手術を避けたい」「胃を切除することに抵抗がある」という人も一定数存在する。そこで、内視鏡(胃カメラ)を駆使して減量につなげる治療法の開発も進んできた。
「内視鏡的スリーブ状胃形成術」とよばれるその術式は、内視鏡(胃カメラ)を使って、胃の内部を縫い合わせることで胃の容積を小さくする方法。腹腔鏡で行う手術と較べると減量効果では若干劣るが、皮膚の表面にキズが付かない――というメリットは大きく、これを希望する患者は多いという。
胃の中に“シリコン製の水風船”を入れる治療が。健康に問題は…
この内視鏡での治療法を簡素化したものとして、「胃内バルーン留置術」という治療法がある。胃の中にシリコン製のバルーンを入れ、そこに水を入れて膨らませる。胃の中で“水風船”が膨らむことで、胃は容量を大きく下げることになり、食べる量が減って体重も減っていく――という考え方だ。
仕組みそのものは単純だが、理にかなってはいる。胃の中にバルーンがあれば、つねに満腹状態なので「食べたい」という欲求は湧きにくくなる。食べたところで胃の容量は僅かなので、物理的にも“大食い”はできない。