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(4)血管を老いさせる

 人間の体は37兆個を超える細胞でできています。その細胞の一つ一つに、酸素と栄養素を送り続けているのが血液と血管です。この血管(特に動脈)が細くなったり、硬くなったり、詰まったりすると、全身の老化につながります。

 この血管の老化に最も影響を与えているのがAGEなのです。つまり、AGEが「動脈硬化」を引き起こしているわけです。

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 もう少し説明しますと、「血管に悪玉コレステロールが溜まると、動脈硬化が起きる」という話は聞いたことがあると思います。血管に溜まった悪玉コレステロールに結びついて動脈硬化を起こすものこそが、AGEなのです。

 つまり、悪玉コレステロールが多いことが動脈硬化の原因なのではなく、AGE化してしまった悪玉コレステロールがいけないのです。

(5)白内障を引き起こす

 かすんで見えたり、ぼやけたり、光がまぶしい……としたら、それは白内障の兆候かもしれません。白内障は45歳以上で増えてくる病気ですが、いちばん多いのが「加齢性白内障」です。これにも糖化が深く関係しています。

 眼球の水晶体にある「クリスタリン」というタンパク質は、一生の間に一度も入れ替わりません。ここにAGEが出来るのが白内障の原因です。ですから、糖化の進行をいかに遅らせるかが、白内障を防ぐ上で大事になってきます。

糖尿病の人ほど「認知症リスク」が増加

(6)認知症の原因になる

 認知症の60~70パーセントはアルツハイマー病によって起きますが、遺伝性のものは全体のわずか0.1パーセント程度です。それ以外は生活習慣の積み重ねによるAGE化が影響するものと考えられています。

 アルツハイマー病にかかるとタンパク質が細い線維を作って脳の神経細胞の外側に溜まります。それが集まるとシミのように見える「老人斑」となります。この老人斑の中に大量のAGEが含まれています。

 また、糖尿病を持っていると非常に認知症にかかりやすい。糖尿病の人はそうでない人と比べて、アルツハイマー型認知症に1.6倍なりやすく、血管性認知症に2.5倍なりやすいという報告があります。「糖尿病性認知症」という言葉があるほどです。糖尿病と診断されるほどではないけれども血糖値が高い耐糖能異常の段階でも、認知症のリスクは上昇します。

 糖尿病があると認知症になりやすい原因として、脳の血管の動脈硬化、体の酸化の増加、AGEの形成、インスリン抵抗性などが指摘されています。

 ですから、認知症を予防するためにも、低血糖を起こさないようにしながら、血糖値をできるだけ良好にコントロールすることが重要です。糖尿病を治療することで、認知機能も改善するという研究が報告されています。

 ことほど左様に、糖尿病は生活習慣病の中でも、人生を左右する最大の曲者と言っていいでしょう。