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 そのしわ寄せを受けるのは、子どもはもちろん、矢面に立っている先生たちも、知識がないから苦しいわけです。これは誰も得しない制度なんじゃないかと思い、文科省に要請に行ったり、ロビイングもするようになりました。

文科省に意見書を提出する赤平さん(写真=本人提供)

“健常の世界”での無理解に保護者はジレンマ

――発達障害で大変な思いをしている家族は多いかと思いますが、自分の子どものことで声を上げるのはむずかしいと感じますか。

赤平 学校などの教育機関側に要請をするのも、保護者は怖いと思います。環境が整っていないところほど、訴えがどのように評価されるかわからないでしょうし、親からすれば、ある意味、子どもが人質にとられているようなものですから。

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 あと、そもそも子どもの発達障害をカミングアウトしたくない親は多いんですよ。

――赤平さんとは真逆のスタンスの方が多い?

赤平 発達障害に限らず「できることなら自分の子どもは健常の世界で生きてほしい」と考えるのが、すべての親の共通の考えではないかと思います。

――赤平さんのお子さんは周囲の理解不足もあって、“健常の世界”でいじめに遭いました。隠すことで、社会にとってその子の特性が伝わらないこともあるように感じます。

赤平 だから保護者はジレンマなんです。「子どもの状態がいつか良くなって社会に適応できるようになるのではないか」という希望もあるけど、目の前にはトラブルが山積していて。

 発達障害の子どもとの生活は波が激しいので、問題のない状態、いわゆる「普通」のことも多々あるんです。そうすると、親からすれば「やっぱりうちの子は健常だ」と思いたくなる。

 

発達障害の知識があるかないかで対応が全く異なる

――赤平さんは、「うちの子はいつか健常になる」という希望はないですか。

赤平 僕は勉強した結果、発達障害は多様な個性の中のひとつと捉える「ニューロダイバーシティ」という考え方に共感しています。ですので、そもそも「健常になる」という考え方をしたことがありません。「発達障害を治す」という考えも当てはまらず、発達障害をLGBTQに近い概念で捉えています。

 その上で、やっぱり発達障害の知識があるかないかで、対応が全く異なるんですよね。発達障害は「怒られの天才」と言われますが、怒られるのは前提とした中で、いかにそれを挽回させるかということを意識してコミュニケーションをしています。

 あと、勘違いされやすいのですが、発達障害の人は暴力的になりがちだったり、ヒステリックになりやすいと言われることがありますが、それは、「発達障害だから」ではないんですよ。