動画サイトで発達障害に関する支援方法や情報を発信することに
――現在、発達障害・ギフテッドに特化した動画メディアも立ち上げられています。
赤平 先ほどロビイングをしたと言いましたけど、一昨年、文科省の担当者に申し入れをした際、彼らも現状の歪みを理解していて、「厚労省と文科省にまたがったプロジェクトチームを作ったばかりです」と話していました。その時、ああ、これではうちの子は救われないと確信したんです。2省にまたがると、物事を決めるスピードが遅くなりますから。
もうこれは自分がやるしかないと思い、発達障害に関する支援方法や情報を発信する「インクルボックス」という動画サイトを立ち上げて、活動をはじめたんです。親だけじゃなく、先生も、企業も、知識を持つだけで意思決定が全然、違うものになりますから。結果的にこの「インクルボックス」が息子の麻布中学受験に役立つとは、当時は全く想像していませんでした。と言いながら、僕も反省ばっかりなんですけどね。
名門・麻布中学を受験することになったきっかけ
――お子さんとの日々で反省することが多い?
赤平 息子は人の言ったことを何度も忘れるんです。それは仕方ないと理解しつつも、強く叱ってしまったことがあって。「なんで忘れるの?」と聞いたら、「日々反省することが多すぎて心が持たないから」と言われました。「怒られの天才」と言われるほどですから、発達障害の子はとにかく日々、普通の人より怒られて悲しい思いをしているわけです。だから、忘れることで自己防衛をして生きているんだと初めて気づいて、息子に謝りました。
――そんな中で、男子御三家として知られる名門・麻布中学に合格されました。受験のきっかけは?
赤平 入試の2か月前、突然息子から「麻布中学を受けてみたい」と言ってきたんです。もともとサポートの体制の薄い公立に入れる気はなかったのですが、かといって進学塾でも受け入れてもらえず、どうしようかと考えていました。
実は小3の時、息子を見てもらった当時の麹町中学校の工藤勇一校長(現・横浜創英中学校・高等学校校長)から、「お子さんは麻布中学が合うのでは」とアドバイスをもらっていたんです。その際、すぐに麻布の過去問も購入しましたが、あまりにレベルが高く、本は閉じたままになっていたのですが……。
撮影=山元茂樹/文藝春秋
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