Q 業界の重鎮が開催するパーティーを欠席してしまい、仕事に影響がないかと気になってしょうがありません。

 去年、毎年参加している業界の重鎮X氏が開催するパーティーを欠席してしまい、今年は案内状が来ませんでした。先輩に相談したら、「あの人に睨まれたら業界から干されるぞ」と忠告されました。そんなのは権力者の横暴だと思いながらも、仕事に影響がないかと気になってしょうがありません。どうしたらいいのでしょうか? 権力者サイドと思われる亀山会長のご意見を伺いたいです。(30代・男性・スタイリスト)

A 「権力の横暴」ってやつの正体は、その周りで勝手にビビったり、媚びたり、利用しようとしたりする「権力のない人たちによる横暴」が多いんじゃないかと思う。

 君の悩みは、「その権力者の了見が狭くて、自分をイジメたらどうしよう」ってことなのかな? 今の日本には、君が心配するような絶対的な権力者なんていないし、気に病む必要なんてないよ。たぶん、去年来た人のリストで招待状を送っているだけだと思うし、そもそもX氏は君の名前さえ知らないかもしれないからね(笑)。

 俺なんかも、会社の中では権力者なんだろうけど。とはいえ、国家の独裁者ってわけでもないんでね。ちゃちな権力を振りかざして横暴なことを続ければ、社員は愛想をつかして辞めるし、いずれ会社も潰れちゃう。これは他社でも政界でも学校でも同じことだと思う。

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 権力ってのは、実力と共に増えていくけど、不条理に使えば使った分だけ減っていくもの。ましてや、自分のために使うとアッという間になくなっちゃうんだ。だから、中途半端な権力ってのは、君が思ってるみたいに気楽には使えないもんなんだよ。

 権力のもっとも上手い使い方は「持ってても使わない」こと。

 もしX氏が賢明な権力者なら、つまらないことに権力は使わないし、ボケた権力者なら、権力の小出しで残高もたいしてないと思う。そのうちMe Tooとかで、いなくなるんじゃないかな。つまりどっちにしても、そんなに「権力者こわ!」ってビビる必要はないってことだね。

 それより、むしろ気をつけたほうがいいのは、君の先輩のように忖度する人たち。彼らはもともと権力者を信用していないから過剰にビビる。権力者に媚びるために、君との関係をいち早く解消するかもしれない。

 そして、さらにタチが悪いのが、他人の権力に乗っかり、あたかも自分の力のように振る舞う人たち。「◯◯の知り合いだ」と名乗ったり、大きな組織の肩書きを使いながら傍若無人に振る舞う「権力者もどき」たち。これはべつに自分の権力が減るわけでもないので、好き勝手に使い放題だね。

 結局のところ、「権力の横暴」ってやつの正体は、「権力者の横暴」というより、その周りで勝手にビビったり、媚びたり、利用しようとしたりする「権力のない人たちによる横暴」が多いんじゃないかと思う。

 実のところ、君の中にも「権力者に取り入って、よろしくやろう」っていうスケベ心が少しはあったんじゃないのかな。でも、まっとうな権力者はパーティーに来たくらいでヒイキはしないからね。つまり、「権力者の横暴」も「権力者の援助」も、君や先輩が思うほどにはないということ。

 そんな不確かなものに一喜一憂するより、自分の実力を磨いたほうがいいと思うよ。良い仕事さえしてれば横暴があったとしても、きっと誰かが守ってくれるよ。

 

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