高校2年の終わりから駆けめぐる進路情報
14分台ひとケタ、そして13分台を持っている選手たちは、高校2年の終わり、ちょうど都道府県対抗駅伝の開催時期から進路情報が駆けめぐる。現役の学生だと、三浦龍司(洛南→順大)、吉居大和(仙台育英→中大)、石田洸介(東農大二→東洋大)、鶴川正也(九州学院→青学大)、そして2023年入学組では吉岡大翔(佐久長聖→順大)が大きく注目を集めていた。
彼らの進路を見ていると、ふたつのことがポイントになっていると感じる。まず、希望する進学先に高校の先輩がいるかどうか。先輩がいれば、部内の雰囲気や練習内容なども把握できる。そしてエリートの選手だと、大学の監督がどのような育成プランを持って指導してくれるのか、その要素も重要になってくる。
大学側も、自分たちのアピールポイントを作らなければならない。駒大の大八木監督は、「大学のブランド力も勧誘には関係してきます」と話す。
「駒澤に行ったら優勝できるかも」と思ってもらうことが大切
「私が駒大を見るようになってから、『どうやったら駒大ブランドを作れるだろうか?』ということをすごく考えました。やっぱり、東京六大学や、最近でいえばMARCHのブランドにはなかなか敵わないんです。対抗するためには、駒大は強い、優勝を狙える、君にもチャンスがあるというメッセージを伝えなくちゃいけない。私がコーチに就任して2年目の箱根駅伝で、復路優勝を狙ったのにはそうした意味がありました。現役の学生たちに自信を持たせるのはもちろん、箱根駅伝を見ている高校生たちに『駒澤に行ったら優勝できるかもしれない』と思ってもらうことが大切だったんです」
大八木監督の話は現実を端的に表していると思う。やはり大学のランキング、ブランドというものは存在する。それは否定できない。駒澤に来てもらうために、その魅力をずっと発信し続けること、そうやって大八木監督は戦ってきたのだと思った。
そして「優勝できそう」「これから強くなりそう」という漠然としたムードも、実は大きな要素である。駒大もそうだったし、一時期、明治にもそうした雰囲気があった。そして2010年代に入ってから青山学院が上り調子となって高校生たちを引きつけ(そうして神野大地、小椋裕介、久保田和真らが入学してきた)、そして20年代に入ってからはすっかり中央の時代になった。